金融機関は、預金商品などの金融商品以外にも様々な金融サービスを取扱っています。その中でも資金移動に利用できるのが「定額自動入金サービス」です。
「定額自動入金サービス」とは、毎月一定の金額が他の金融機関の自分名義の預金口座から入金されるものです。
たとえば複数の金融機関に預金口座をもっている利用者が、金融機関をこえて資金を移動できます。
「定額自動入金サービス」では、引落先と入金先の預金口座は同一名義でなければならないため、仕送りや支払いなどの用途には使えません。
しかし複数の金融機関を併用している利用者が、資金移動したり資産管理できます。
「定額自動入金サービス」は、おもにインターネット銀行が取扱っています。なぜなら、インターネット銀行は金利や手数料、利便性などの面で優れていますが、金融商品の品揃えは少なく、給与振込先口座に設定できないこともあります。
そのため、メガバンクや地方銀行をメインバンクにして、インターネット銀行をサブバンクにする人が多いです。そうなるとメインバンクからインターネット銀行へ資金移動する必要がうまれます。そこで利用できるのが「定額自動入金サービス」です。
「定額自動入金サービス」は一度契約すれば毎月自動的に入金が実行されて、振込手数料も無料であるために、定期的な資金移動に利用できます。
「定額自動入金サービス」は、入金先となる金融機関で申込み手続きをします。そのため、取引している金融機関が「定額自動入金サービス」を取扱っているかどうかを確認しておきましょう。
万が一、取引していない金融機関で「定額自動入金サービス」を利用したいのなら、まず普通預金を口座開設します。また引落先金融機関は所定の金融機関の中から決めるため、場合によっては目当ての金融機関を引落先金融機関に指定できない可能性があります。
「定額自動入金サービス」は金融機関によって名称が違ったり、よく似た名称でまったく別の金融サービスも存在するので注意が必要です。
たとえば一部の金融機関が提供している「定額自動送金サービス」や「定額自動振込サービス」は、名称こそ「定額自動入金サービス」と似ていますが、内容は真逆です。
つまり毎月一定の金額を他の金融機関へ送金するという、各種支払いや仕送り向けの金融サービスです。「定額自動入金サービス」と一緒に提供している金融機関もありますが、間違えないようにしましょう。
「定額自動入金サービス」は、毎月一定の金額が他の金融機関から入金されるサービスで、利用金額(月々の入金金額)は自由に設定できます。
もちろん引落先口座(他の金融機関)の預金残高以上の金額は入金できないため、預金残高や資金計画をよく検討して、無理のない利用金額を設定しましょう。
一部のインターネット銀行では、「定額自動入金サービス」と「定額自動振込サービス」をともに提供しています。
よって「定額自動入金サービス」で他の金融機関から入金された資金を、さらに定額自動振込サービスで所定の相手に振り込む使い方もできます。
「定額自動振込サービス」の類似サービスは、メガバンクや地方銀行でも提供しています。
しかし、インターネット銀行なら「定額自動振込サービス」の振込手数料が、無料または安いところが多いです。
したがって、「定額自動入金サービス」でインターネット銀行へ資金移動してから、インターネット銀行の「定額自動振込サービス」で振り込んだほうが振込手数料を節約できます。
「定額自動入金サービス」を取扱っているインターネット銀行は、どこも利用手数料無料で同じサービスを提供しています。
通常は他の金融機関へ資金移動するときには、他行宛て振込を利用するため、1回あたり数百円の他行宛て振込手数料が発生します。
しかし、「定額自動入金サービス」なら振込手数料を気にせず無料で資金移動ができます。
インターネット銀行には振込手数料が無料の銀行もありますが、メガバンクや地方銀行、信用金庫などは振込手数料が高いです。よって各金融機関からインターネット銀行へ資金移動するときは「定額自動入金サービス」の活用も考えられます。
最近は振込手数料を引き上げる金融機関が増えており、よりいっそう「定額自動入金サービス」を活用することが考えられます。
たとえば、2018年には紀陽銀行や十六銀行や名古屋銀行が振込手数料を引き上げており、2019年にも三井住友銀行や広島信用金庫が振込手数料を引き上げています。
しかし、こういったメガバンクや地方銀行や信用金庫は「定額自動入金サービス」の引落先金融機関に設定できるので、「定額自動入金サービス」を活用すれば無料でインターネット銀行に資金移動できます。
各インターネット銀行が提供する「定額自動入金サービス」は、月々の入金件数を5件まで登録できます。
そのため実質的に5件分は振込手数料を節約できます。
もし、入金件数が5件以上ある場合には、振込手数料が高い金融機関から先に「定額自動入金サービス」の引落先金融機関に登録したいです。
「定額自動入金サービス」は毎月の利用金額や引落日を事前に決めておくので、1回限りの振込や不定期の振込には対応できません。
そのため「定額自動入金サービス」で対応できない場合は、店舗窓口やインターネットバンキング、ATMで振込をします。ただし、その場合は振込手数料が発生します。
各インターネット銀行の「定額自動入金サービス」は、利用金額や利用手数料などのサービス内容がほぼ共通しています。
しかし、引落先金融機関から利用金額が引き落とされる引落日と、実際に利用金額が入金される入金日は異なります。
とくに「定額自動入金サービス」を何かの返済に使う場合には、入金日と返済日のタイミングを合わせなければならないので、事前の確認が欠かせません。
「定額自動入金サービス」を提供するインターネット銀行のおおくは、引落日を毎月の上旬と下旬の2回用意しているので、都合の良い日を選べます。
たとえば、auじぶん銀行の「定額自動入金サービス」は、毎月6日または26日が引落日になっており、都合に合わせて自由に選べます。同様に住信SBIネット銀行やPayPay銀行は毎月5日か27日、イオン銀行は毎月6日か23日が引落日です。
ですので、入金の目的に合わせて引落日を選びましょう。さらに引落日の変更や「定額自動入金サービス」の解約もできるので、利用中に資金計画が変わっても対応できます。
「定額自動入金サービス」では、引落日から数日遅れて実際の入金がされるので、引落日から入金日までの日数も確認したいです。
引落日から入金日までの日数はインターネット銀行によって異なりますが、だいたい4営業日から5営業日ほどかかります。
そのため間に土日祝日などをはさむと、引落日から入金日まで何日もかかってしまいます。余裕を持って引落日を設定したいです。
たとえば、月末の返済日のために「定額自動入金サービス」で返済資金を入金する場合は、毎月上旬に引落日を設定しておけば確実に月末までに入金されます。
万が一それでも間に合わない場合は、通常の振込で入金します。通常の振込は振込手数料が発生する代わり迅速に入金できます。
各々のインターネット銀行では「定額自動入金サービス」の引落日と入金日の年間スケジュールを公開しているので、1年間の引落日と入金日を事前に確認できます。
さらに「定額自動入金サービス」の新規契約を検討している人のために、毎回の引落日に合わせた新規契約申込みの締切日も紹介されています。
よって、新規契約を申込むタイミングも年間スケジュールで確認できます。
「定額自動入金サービス」は、所定の預金口座に毎月一定の金額が入金されるサービスですが、利用に際しては金額や引落日だけでなく、引落先金融機関も設定します。
引落先金融機関とは「定額自動入金サービス」で入金される資金の引落先のことで、入金先口座と同一名義の預金口座でなくてはいけません。
そのため普段から取引している金融機関を引落先金融機関に設定しましょう。また定期的に一定金額が引き落とされて預金残高が不足しやすくなるので、給与振込口座などを引落先口座にしておくと安心です。
各インターネット銀行の「定額自動入金サービス」では、メガバンク、地方銀行、ゆうちょ銀行、インターネット銀行、信用金庫、労働金庫など、おおくの金融機関を引落先金融機関に設定できます。
しかし、一部の信用金庫は「定額自動入金サービス」に対応していないので、引落先金融機関にできません。事前に引落先金融機関の一覧を確認しましょう。
たとえば、山形信用金庫や佐野信用金庫、横浜信用金庫、コザ信用金庫など19の信用金庫は、引落先金融機関に設定できません。
また合併で新たに設立された金融機関は、システム統合が完了するまで一部の支店が引落先金融機関の対象外になることがあります。
通常は、入金先口座と同一名義の預金口座があれば引落先金融機関にできます。
しかし、一部の金融機関ではさらに所定の利用条件を満たさないと、引落先金融機関に設定できません。
たとえば「三井住友銀行」や「みずほ銀行」や「りそな銀行」などのメガバンク、そして「ゆうちょ銀行」は同一名義の預金口座を持つだけではなく、インターネットバンキングを契約しなければならない場合があります。そのため引落先金融機関の利用条件は必ず確認したいです。
「定額自動入金サービス」の引落先金融機関は、利用可能時間がまちまちです。
たとえば、24時間いつでも取引できる金融機関もあれば、早朝から深夜まで、そして平日と土日で利用可能時間が異なる金融機関などがあります。
「定額自動入金サービス」は指定日に自動で引落や入金が行われるため、利用可能時間はあまり関係ありません。しかし、引落先口座の残高照会や各種申込み手続きをいつでも行えるように、24時間取引できる金融機関を引落先金融機関に設定しておくと便利です。
具体的には、メガバンクや地方銀行やインターネット銀行は、24時間取引できる場合がおおいです。
ここからは具体的に、各金融機関の「定額自動入金サービス」を見ていきます。
まず「住信SBIネット銀行」の「定額自動入金サービス」は、スマートプログラムのポイントが貯まります。
スマートプログラムとは住信SBIネット銀行が提供する優遇プログラムで、取引実績に応じてATM利用手数料や振込手数料の月々の無料回数が増えたり、ポイントを貯めてJALのマイルや現金に交換できます。
「定額自動入金サービス」を契約すると、スマートプログラムのポイントが毎月30ずつ貯まっていくため、マイルや現金が欲しい利用者も「定額自動入金サービス」を活用できます。
次に、イオン銀行の「定額自動入金サービス」は、インターネットバンキングから利用できます。
たとえば「定額自動入金サービス」の契約申込みや解約、契約内容の変更、利用停止や再開など全ての手続きをインターネットバンキングから受け付けているため、時間や場所を選ばずに「定額自動入金サービス」を利用できます。
そのため多忙な利用者や、来店せずに取引したい利用者も活用できます。またインターネットバンキングはパソコンだけでなくスマートフォンからも操作できます。
そして大和ネクスト銀行は、「資金お取寄せサービス」という独自の名称で「定額自動入金サービス」を提供しています。
「資金お取寄せサービス」は名称こそ独特ですが、一般的な「定額自動入金サービス」と同じ内容で、他の金融機関の自分名義の預金口座から、毎月一定の金額を手数料無料で受け取れます。
< 戻る | 進む >