ペイオフとは、金融機関が破綻した場合に、預金保険制度によって預金者を保護する仕組みを説明するときに使われる言葉です。
利息の付く普通預金や定期預金などは、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと、破綻日までの利息等が保護されます。
無利息・要求払い・決済サービスを提供できる、という3条件を満たす決済用預金は全額保護されます。
金融機関が破綻した場合の預金者保護には、預金保険機構から預金者へ保険金を直接支払う方法だけでなく、破綻金融機関の事業を別の金融機関へ引き継ぐために資金援助を行う方法もあります。直接支払いのペイオフ方式は、預金者保護方法の一つです。
預金保険制度は、金融機関が破綻した場合に預金者を保護し、信用秩序を維持するための制度です。
預金者が対象金融機関へ対象預金を預けると、法律に基づいて自動的に保険関係が成立します。預金者が個別に加入手続きをしたり、保険料を支払ったりする必要はありません。
保険料は、預金保険制度へ加入する金融機関が預金保険機構へ納付します。
厳密な意味での「ペイオフ」は、破綻金融機関の預金者へ預金保険機構が保険金を直接支払う方式を指します。
一方、受皿金融機関へ事業を引き継ぐために資金援助を行う方式もあります。どちらの方式でも、法律で定められた範囲の預金者保護が図られます。
| 預金の区分 | 保護される範囲 |
|---|---|
| 決済用預金 | 全額保護 |
| 利息の付く普通預金・定期預金など | 1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと、破綻日までの利息等 |
| 元本1,000万円を超える部分 | 破綻金融機関の財産状況に応じて支払われ、一部カットされる可能性がある |
| 預金保険の対象外商品 | 預金保険制度では保護されない |
決済用預金とは、次の3条件をすべて満たす預金です。
当座預金や、金融機関が提供する無利息型普通預金などが該当します。
決済用預金は、金融機関が破綻しても金額にかかわらず全額保護されます。
ただし、通常の利息付き普通預金を持っているだけでは決済用預金にはなりません。金融機関が決済用預金として取り扱う商品へ切り替える必要があります。
利息の付く普通預金、定期預金、貯蓄預金、通知預金、納税準備預金などは、一般預金等として扱われます。
同じ金融機関にある対象預金を合算し、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
たとえば、同じ銀行に普通預金600万円、定期預金700万円がある場合、合計は1,300万円です。
この場合、元本1,000万円までとその利息等は保護されますが、残る元本300万円とその利息等は、破綻金融機関の財産状況に応じて支払われます。
| 預金・商品 | 預金保険 |
|---|---|
| 普通預金 | 対象 |
| 定期預金 | 対象 |
| 貯蓄預金 | 対象 |
| 通知預金 | 対象 |
| 納税準備預金 | 対象 |
| 定期積金 | 対象 |
| 元本補てん契約のある金銭信託 | 対象となる場合がある |
| 金融債の一部 | 所定の条件を満たす場合は対象 |
実際の対象可否は、商品名だけでなく契約内容によって決まります。商品概要説明書や金融機関の案内をご確認ください。
| 預金・商品 | 注意点 |
|---|---|
| 外貨預金 | 預金保険制度の対象外 |
| 譲渡性預金 | 預金保険制度の対象外 |
| 無記名預金 | 預金保険制度の対象外 |
| 他人名義・架空名義の預金 | 預金保険制度の対象外 |
| 元本補てん契約のない金銭信託 | 預金保険制度の対象外 |
| 投資信託 | 預金ではなく、預金保険制度の対象外 |
| 株式・債券 | 預金ではなく、預金保険制度の対象外 |
外貨預金は銀行の商品であっても、預金保険制度の対象外です。
外貨預金は、金融機関が破綻した場合だけでなく、為替変動や為替手数料によって円換算額が元本を下回る可能性もあります。
名寄せとは、破綻した金融機関に同じ預金者が持つ複数の口座をまとめ、預金総額を確定する作業です。
支店や口座の種類を分けても、同じ金融機関の同じ預金者名義であれば合算されます。
たとえば、同じ銀行のA支店に定期預金700万円、B支店に普通預金500万円がある場合、合計1,200万円として名寄せされます。
同じ銀行で複数口座へ分けても、1,000万円の保護上限を増やすことはできません。
預金保険の保護上限は、原則として法人格の異なる金融機関ごとに判定されます。
同じ金融グループに属していても、別の銀行法人であれば、それぞれ1金融機関として扱われます。
一方、同じ銀行の本店・支店、インターネット支店、提携ブランド口座などは、同じ金融機関として合算されます。
銀行名やブランド名だけで判断せず、金融機関コードや預金契約の相手方を確認してください。
夫、妻、子など、それぞれが自分の資金を自分名義の口座へ預けている場合は、原則として別の預金者として扱われます。
ただし、実質的には一人の資金なのに、保護上限を増やす目的で家族の名義だけを借りている場合は、他人名義預金と判断され、保護されない可能性があります。
名義だけでなく、資金の所有者が誰であるかが重要です。
家族へ資金を移す場合は、贈与税や相続税の問題も生じるため、単純な名義変更で済ませないようにしましょう。
法人は、法人そのものが1預金者として扱われます。
本社、支店、営業所などが同じ法人であれば、同じ金融機関にある対象預金は合算されます。
個人事業主の事業用口座と個人用口座は、金融機関や口座の契約形態により同じ預金者として名寄せされる場合があります。
大口の事業資金を置く場合は、金融機関へ名寄せの扱いを確認してください。
日本の預金保険制度の対象となる主な金融機関は次のとおりです。
外国銀行の日本支店や、日本の銀行の海外支店にある預金は、日本の預金保険制度の対象外です。
ゆうちょ銀行の貯金は、預金保険制度の対象です。
一方、農業協同組合、漁業協同組合、農林中央金庫などは、預金保険制度ではなく、農水産業協同組合貯金保険制度によって保護されます。
保護の基本的な考え方は似ていますが、運営主体と根拠法が異なります。
破綻処理の方法や払戻し開始時期は、金融機関の状況によって異なります。
金融機関の破綻直後は、名寄せや保護額の確定に時間がかかる場合があります。
預金者の当面の生活資金を確保するため、必要に応じて預金保険機構が仮払金を支払う制度があります。
仮払金の対象や上限、請求方法は、破綻時の公式案内に従います。
同じ金融機関にある一般預金等が1,000万円を超える場合は、次の方法が考えられます。
同じ銀行の支店を分けるだけでは、保護上限は増えません。異なる金融機関へ分ける必要があります。
2,500万円の円預金を安全性重視で管理する場合、次のように異なる金融機関へ分ける方法があります。
| 金融機関 | 預金額 | 保護の考え方 |
|---|---|---|
| A銀行 | 900万円 | 元本900万円と利息等が保護対象 |
| B銀行 | 900万円 | 元本900万円と利息等が保護対象 |
| C銀行 | 700万円 | 元本700万円と利息等が保護対象 |
一般預金等では、元本1,000万円までと、その保護対象元本に対応する破綻日までの利息等が保護されます。
元本が1,000万円を超えている場合、超過元本に対応する利息まで全額保護されるわけではありません。
また、中途解約利率ではなく、預金契約に基づく破綻日までの利息等を基に計算されます。
預金保険機構は、破綻金融機関の預金者データを使って名寄せを行います。
転居、改姓、法人名変更などがあった場合は、金融機関へ速やかに届け出てください。
氏名の表記、生年月日、住所、法人番号などが正確でないと、名寄せや払戻しに時間がかかる可能性があります。
いいえ。同じ金融機関にある普通預金、定期預金などの一般預金等を合算して、元本1,000万円までと利息等が保護されます。
保護されません。同じ金融機関の預金は支店を問わず名寄せされます。
日本国内に本店を置き、預金保険制度の対象となるネット銀行の対象預金は保護されます。
保護されません。外貨預金は預金保険制度の対象外です。
無利息・要求払い・決済サービス提供の3条件を満たす決済用預金であれば、全額保護されます。
必ず失われるわけではありません。破綻金融機関の財産状況に応じて支払われますが、一部カットされる可能性があります。
家族本人の資金であれば別預金者として扱われます。名義だけを借りた預金は保護されない可能性があり、贈与税などの問題もあります。
ペイオフを理解するうえで最も重要なのは、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと、破綻日までの利息等が保護されるという点です。
決済用預金は全額保護されますが、外貨預金や譲渡性預金などは預金保険制度の対象外です。
同じ金融機関の複数口座は名寄せされます。1,000万円を超える預金を安全性重視で管理する場合は、異なる金融機関への分散、決済用預金の活用、登録情報の更新を検討しましょう。
