震災と定期預金

震災と定期預金

地震・津波・豪雨などの大規模災害では、住宅や交通だけでなく、銀行店舗、ATM、通信回線、電力設備も被害を受ける可能性があります。

定期預金は平常時には満期まで預ける商品ですが、災害時には金融機関が被災状況を踏まえ、期限前払戻しなど柔軟な対応を行うことがあります。

金融庁・財務局・日本銀行は、災害救助法が適用される災害などで金融取引に支障が生じた場合、金融機関に対して預貯金の柔軟な払戻しなどの金融上の措置を要請しています。

災害時の定期預金は中途解約できる?

震災時の定期預金の中途解約

金融庁が示す災害時の金融上の措置では、事情に応じて、定期預金・定期積金などの期限前払戻しに応じることを金融機関へ要請しています。

また、定期預金を解約する代わりに、その預金を担保として一時的に融資を受ける対応が行われる場合もあります。

ただし、「災害が起きればすべての定期預金が自動的に無条件で解約できる」という意味ではありません。被災状況・金融機関・商品・必要資金などを踏まえて個別に判断されます。

通帳・印鑑を失っても払戻しに応じる措置がある

震災で通帳や印鑑を紛失した場合

震災では、自宅の倒壊・火災・津波などによって通帳、証書、印鑑、キャッシュカードを失うことがあります。

金融庁の現在の災害対応では、預金証書・通帳・届出印鑑などを紛失した場合でも、被災状況を踏まえた確認方法により預金者本人からの申出であることを確認し、払戻しに応じるよう金融機関へ要請しています。

「通帳がないから預金を引き出せない」と直ちに諦めず、まず取引金融機関へ相談してください。

本人確認書類がない場合も個別対応

震災時の本人確認

運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの本人確認書類が残っていれば、金融機関へ提示します。

しかし、本人確認書類まで紛失している被災者もいます。

過去の大規模災害では、住所・氏名等を聴取し、銀行側の登録情報との一致を確認するなど、通常時より柔軟な本人確認が行われた例があります。

具体的に何を確認資料として認めるかは、災害ごとの金融上の措置と各金融機関の判断によります。

罹災証明書は「銀行の本人確認書類」と一律には言えない

罹災証明書と銀行手続き

しかし、罹災証明書は住宅等の被害状況を証明する書類であり、銀行取引の本人確認書類として全国一律に単独利用できるとは限りません。

被災事実を示す補助資料として扱われる可能性はありますが、払戻しや口座開設時の具体的な確認方法は金融機関へ確認してください。

災害時の口座開設も金融機関ごとの対応

過去の大規模災害では、避難生活を送る被災者のために、通常より柔軟な本人確認によって預金口座の開設に対応した例があります。

ただし、2026年現在も「住所・氏名・生年月日を申告するだけで必ず新規口座を作れる」という一般ルールがあるわけではありません。

新しい口座が必要な場合は、避難先の金融機関へ相談してください。

避難先で別の金融機関から払戻しできる場合もある

避難先での預金払戻し

東日本大震災では、取引銀行の店舗から遠く離れた地域へ避難した人のために、取引金融機関以外の店舗でも預金払戻しを取り扱う金融機関がありました。

これは災害ごとの特別対応であり、いつでも全国の銀行で他行預金を引き出せる制度ではありません。

避難先で資金が必要な場合は、取引銀行の災害専用窓口や、最寄りの金融機関へ確認してください。

ATMが使えないことを前提に備える

震災時の停電とATM

大規模災害では、停電、通信障害、ATM設備の損傷、現金不足などでATMが使えない可能性があります。

金融機関によっては移動店舗・移動ATM車を被災地へ派遣する場合がありますが、すべての地域で直ちに利用できるとは限りません。

定期預金の有無とは別に、数日分の生活に必要な少額現金を防災用品とともに準備しておくことが実務的です。

スマートフォンも重要な金融防災用品

震災時のスマートフォンと銀行取引

現在は銀行アプリ・インターネットバンキングで、残高確認、振込、定期預金の手続きなどを行うケースが増えています。

そのため、スマートフォンは災害時の金融アクセスに重要です。

一方で、通信障害・基地局停電・バッテリー切れが起きる可能性があります。

モバイルバッテリーを準備し、銀行の問い合わせ先・口座情報をスマートフォンだけに依存しない形でも記録しておくと安心です。

ネット銀行だけが特別に「災害に弱い」わけではない

ネット銀行と震災

ネット銀行は実店舗の窓口を利用できない一方、スマートフォンから場所を問わず取引できる点や、複数の提携ATMを使える点は災害時に有利になることもあります。

店舗型銀行とネット銀行にはそれぞれ強み・弱みがあり、「ネット銀行だから危険」と一律には言えません。

複数の金融機関に資金を分けるメリット

災害に備えた預金分散

災害時の金融アクセスを考えると、すべての生活資金を1つの金融機関に集中させない方法があります。

たとえば、

・日常生活用の銀行
・ネット銀行
・近隣に店舗・ATMがある別の銀行やゆうちょ銀行

など複数経路を持っておけば、1つの銀行・通信網・ATMが利用できない場合の代替手段になります。

また、一般預金等の預金保険は、1金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までと、破綻日までの利息等が保護されるため、高額資金では預金保護の観点でも分散に意味があります。

家族なら本人の定期預金を自由に解約できる?

震災時の家族と預金手続き

金融庁は東日本大震災時、本人が死亡・行方不明の場合などに、親・子・配偶者等からの払出しの申出について、必要要件を確認したうえで一定額の払出しへ柔軟に対応するよう案内しました。

しかし、親族であるだけで本人の預金を自由に解約できる一般的権利があるわけではありません。

本人の状況、続柄、資金の必要性、本人意思を確認できるかなどにより対応が異なるため、必ず金融機関へ相談してください。

「生活費なら10万円まで」という全国共通ルールはない

災害時の払出し金額は、災害・金融機関・本人確認状況・用途等によって異なります。必要な生活費・医療費・葬儀費等については、金融機関へ個別に相談してください。

預金者が死亡した場合は相続手続きが基本

震災で預金者が死亡した場合

預金者が死亡すると、普通預金・定期預金は相続財産になります。

銀行が死亡を把握した後は、原則として所定の相続手続きが必要です。

ただし、葬儀費用・当座の生活資金などについては、金融機関が相続人からの相談に個別対応することがあります。

また、民法には遺産分割前でも一定額まで預貯金を払い戻せる制度があります。

相続税の申告・納付期限は災害で延長される場合がある

災害と相続税の期限延長

相続税の通常の申告・納付期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。

しかし、災害その他やむを得ない理由で期限内に申告・納付できない場合、国税の期限延長制度が適用されることがあります。

災害ごとに地域指定による一括延長が行われる場合もあれば、個別申請による延長となる場合もあります。

相続・贈与財産が災害で被害を受けた場合の減免

災害により相続・贈与で取得した財産が一定以上の被害を受けた場合、災害減免法によって相続税・贈与税の減免を受けられることがあります。

要件・申請期限があるため、該当する場合は国税庁・税務署へ早めに確認してください。

被災前に準備しておきたい「金融防災」

定期預金の震災対策

震災時に定期預金を安全に管理するには、災害が起きてから考えるより、平常時の準備が重要です。

1. 取引銀行・支店・口座種類を把握する
2. キャッシュカードを1枚に集中させない
3. 銀行アプリ・ネットバンキングを使える状態にする
4. 登録電話番号・住所を最新にする
5. 家族に主要な取引金融機関を伝えておく
6. モバイルバッテリーを用意する
7. 数日分の少額現金を防災用に準備する
8. 生活資金をすべて長期定期に固定しない

定期預金の口座番号を紙に書いて持ち歩く必要はない

金融防災では口座情報を把握しておくことは重要ですが、口座番号・暗証番号・ログインパスワードを一緒に紙へ書いて持ち歩くのは危険です。

銀行名・支店名・連絡先など必要最小限の情報を安全な場所に保管し、暗証番号・パスワードは別管理してください。

災害発生直後は「解約」より生命・安全を優先

震災直後は安全を優先

大規模地震の直後は、津波、火災、建物倒壊、余震など二次災害の危険があります。

ATMや銀行店舗へ急いで向かうことよりも、避難・安全確保を優先してください。

金融庁も、危機時には生命・安全の確保を最優先に冷静に行動するよう呼びかけています。

震災時の定期預金チェックリスト

1. 取引金融機関の公式サイト・災害窓口を確認したか
2. 定期預金の期限前払戻しに応じているか
3. 通帳・印鑑・カードを紛失していないか
4. 残っている本人確認書類は何か
5. ATM・店舗の営業状況を確認したか
6. ネット・電話・別店舗など代替手段があるか
7. 家族が手続きする場合の必要書類を確認したか
8. 預金者死亡時は相続手続きを確認したか
9. 税の期限延長・減免措置の対象か確認したか
10. まず生命・安全を確保したか

よくある質問

震災時に定期預金を途中解約できますか?

災害時には、事情に応じて定期預金の期限前払戻しに応じるよう金融機関へ要請されることがあります。実際の可否・利息の扱いは金融機関・商品・被災状況によって異なります。

通帳と印鑑をなくしても預金を引き出せますか?

災害時には、通帳・印鑑等を紛失していても、被災状況を踏まえた本人確認によって払戻しへ応じるよう金融機関に要請されます。まず取引金融機関へ相談してください。

本人確認書類も全部なくしたらどうなりますか?

過去の大規模災害では、氏名・住所等と銀行の登録情報を照合するなど柔軟な対応が行われています。ただし具体的な確認方法は災害・金融機関によって異なります。

家族なら本人の定期預金を解約できますか?

親族であるだけで自由に解約できるわけではありません。本人が死亡・行方不明・負傷している場合など、必要要件を確認したうえで金融機関が個別に対応することがあります。

震災で銀行が破綻したら定期預金はどうなりますか?

一般預金等に該当する定期預金は、預金保険制度により原則として1金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までと、破綻日までの利息等が保護されます。

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※本ページは2026年8月時点の金融庁、日本銀行、国税庁等の公表情報をもとに、災害時の一般的な金融上の措置を解説しています。実際の払戻し、中途解約、本人確認、親族による手続き、店舗営業、税務上の期限延長・減免は、災害の規模・地域・金融機関・個別事情によって異なります。災害発生時は金融庁、財務局、日本銀行、自治体、取引金融機関等の最新情報をご確認ください。

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