「金利」には二通りの意味があります。一つは、お金を貸し借りしたときの手数料の「金額」そのものを意味する場合です。もう一つは、手数料である利息を計算する「割合」を表す場合です。
一方、「利率」は金融商品などの元本に対する利息の割合を表します。
ただし、通常は「金利」が日本全体の大きな経済の観点で表現する場合に使われるのに対して、「利率」は単に金融商品の元本に対する収益の割合を表す場合に使われます。
金融機関のホームページなどで、定期預金の商品案内や商品概要説明書を見ていると、「金利」や「利率」という言葉をよく目にします。
お互いによく似た言葉のように感じますが、「定期預金の金利」と「定期預金の利率」とではどのような意味の違いがあるのでしょうか?
両者の意味の違いをしっかりと理解できれば、自分が預け入れしている定期預金などの金融商品についての知識が一層深まります。
金利とは、お金の貸し借りをした場合に発生する、お金の利用手数料を指します。
例えば、銀行が収益を上げるための手段の一つに、企業などにお金を貸す行為があります。
銀行は企業などにお金を貸して、その利用料として貸した先の企業から金利を受け取ることで利益を得ています。
そして銀行が企業などへ貸すお金の原資は、おもに銀行の利用者が定期預金として預け入れたお金です。
つまり、利用者が銀行に定期預金を預けることは、銀行が企業などに貸すためのお金を銀行に貸していることです。
利用者は銀行に貸すお金の利用手数料として、銀行から金利を受け取っているのです。
また金利は「お金の利用手数料」という意味の他に、その利用手数料である利息がいくらになるのか?を計算するために割合(%)でも表記されたりします。
たとえば、銀行の金利一覧表などを見てみると、定期預金の金利は「0.3%」や「0.5%」といった具合に%で表されています。
これが「元本に対する利息がいくらになるのか?」を計算するために、割合として使用される金利です。
つまり金利には二つの意味があります。
一つは、お金を貸し借りした時の手数料の「金額」そのものを意味する場合です。
もう一つは、手数料である利息を計算する「割合(率、レート)」を表す場合です。
一方で利率とは、金融商品などの元本に対する利息の割合を示すものです。
例えば元本100万円に対しての利息が1万円ならば、10,000(円)÷1,000,000(円)=0.01(%)となり、その利率は1%です。
金利と利率という言葉を比較してみると、共に元本に対する利息の割合を表すという点ではほぼ同じ意味を持っています。
ただし通常は、「金利」は日本全体の大きな経済、つまりマクロの観点で表現する場合に使用されます。
そして「利率」は単に金融商品の元本に対する収益の割合を示す場合に使用されます。
言葉の意味は同じですが、言葉の使われ方が異なります。「短期金利」「長期金利」「市場金利」と言いますが、「短期利率」「長期利率」「市場利率」とは言わないのがよい例です。
元本に対する利息をただ金額で表すだけでは、元本の金額が異なる場合に、利息がどうなるのか?高いのか安いのか?などの判断ができません。
そこで元本の金額が変化したとしても、元本に対する利息を割合として表すことで利息の大きさを分かりやすくしたのが金利や利率なのです。
通常は、金利、利率いずれの場合も、元本に対する利息の割合はパーセントで表し、特に注意がなければ元本に対する利息の割合は年利(1年当たりでの計算)が使用されます。
その他に、定期預金などの投資商品の商品案内では「利回り」という言葉もよく見られます。
この「利回り」は金利や利率といった言葉とは少々異なる意味合いで使われるので注意が必要です。
例えば、定期預金などに預け入れた元本を複数年運用したり、または複利で運用したときには利益が出ます。その利益を運用年数で割って、1年当たりの利益を元本に対する割合で示したものが利回りです。
ここで分かりやすくするために、金利3%、預入期間が3年の半年複利の定期預金商品に預け入れた場合で考えてみましょう。
半年複利の定期預金商品なら、利息は半年ごとに発生します。発生した利息は元本に加えられて、新しい元本として運用が継続されていきます。
半年ごとに利息が発生して元本に加えられていくので、元本もそれに対する利息も半年ごとに少しずつ増えていきます。
この定期預金に100万円を預け入れます。
すると、複利運用なので半年後には年利3%の半年分として、3%の2分の1である1.5%が利息として元本に加えられます。
そして、その半年後には利息を加えた元本に対して、さらに1.5%の利息が上乗せされていきます。
ここで利息計算方法を「預け入れ金額(円)×金利(%)」とした場合に、半年後の利息は100万円×0.015=15,000円です。よって元本は、100万円+15,000円=101万5,000円になります。
さらに次の半年後の利息は、101万5,000円×0.015=15,225円です。よって元本は、これまでの元本である101万5,000円に利息の15,225円を足して、101万5,000円+15,225円=103万225円です。
定期預金に預け入れた時から1年後には、これだけの利息がつきます。
同様に計算していくと、
・1年半後の元本は104万5,678円
・2年後の元本は106万1,363円
・2年半後の元本は107万7,283円
・3年後の満期時には元本は109万3,442円です。
この場合3年間で得た利息は、109万3,442円−100万円=9万3,442円です。したがって1年あたりの利息は、93,442(円)÷3(年間)=31,147.333…となり、およそ3万1,147円です。
元々預け入れたお金は100万円なので、元本100万円に対する利回りは、3万1,147円÷100万円=3.1147%となります。
また金利や利率や利回りを考えるときには、税金についても考えなければなりません。
定期預金の受取利息には、税金がかかります。
銀行窓口や、インターネットの金融サイトなどに表示されている金利や利率は税引前のものであり、実際に受け取るのは税引後の利息になります。
個人の定期預金の場合なら、「所得税15%」と「復興特別所得税0.315%」と「地方税5%」を足し合わせて、合計で20.315%が税金として差し引かれます。
銀行では、利用者に代わってこれらの税金納付手続きを代行しているため、利息が銀行口座に入金された時点で税金納付は完了しています。
これは三菱UFJ銀行などの大手都市銀行であっても、楽天銀行やイオン銀行などのインターネット銀行であっても違いはありません。
もちろん、金利や利率にもとづいて得られる利息(税引前)から税金が差し引かれれば、実際に受け取る利息(税引後)の金額は変わります。
そして実際に受け取る利息の金額が違えば、それによって利回りも変わってきます。
ですので資産を管理する上では、「税引前と税引後の違い」をきちんと把握することが重要です。
金融情勢が変化すれば、それにつれて金利や利率も変動します。たとえば、満期を迎えた定期預金を継続して運用する場合には、継続日である満期日の店頭表示金利が新たに更新されます。
また、変動金利型の定期預金であれば、半年ごとなど、定期的に適用金利が見直されて金融情勢が反映されます。
このような最新の金利や利率などの情報は、こまめにチェックしたいです。