定期預金の預け替えをするときには、単に金利を比べるだけでは不十分です。
古い定期預金の運用を始めた時期、満期までの残り期間、満期を迎えたときの受取利息と、預け替えを予定している新しい定期預金の諸条件とをしっかり比較する必要があります。
定期預金の預け替えを検討する大きな理由の一つは、金利です。
一昔前は、都市銀行でも地方銀行でも定期預金の金利は横並びで、どの金融機関に預け入れをしても受取利息に差はありませんでした。
しかし、現在は定期預金の金利は金融機関ごとに異なります。金融機関によっては定期預金の金利差が10倍以上あるケースも珍しくありません。
現在、預け入れ中の金融機関の定期預金と、他の金融機関の定期預金との金利を比較してみてます。
そして他の金融機関の高い金利に関心が向けば、定期預金の預け替えを考えるのはしぜんです。
ただし定期預金の預け替えをするときには、いくつかの注意点があります。
高い金利に期待して定期預金の預け替えをするのなら、タイミングをよく考える必要があります。
現在、預け入れ中の定期預金が満期を迎えてから別の定期預金に預け替えをする場合は、特に複雑なことはありません。
定期預金の満期時の取扱条件が自動継続なら、あらかじめ「満期自動解約扱い」に条件を変更しておけば、満期時には普通預金口座に元本と受取利息が入金されます。
その上でインターネットなどを利用して、定期預金の金利情報をチェックします。
そしてこれまで利用してきた定期預金よりも金利の面で有利な他の金融機関の定期預金が見つかったら、預け替えをします。
注意が必要なのは、預け入れ中の定期預金を満期を待たずに解約して、別の金融機関の定期預金に預け替える場合です。
預け入れ中の定期預金を満期がくる前に中途解約すると、ペナルティとして解約利率が適用されます。
定期預金の解約利率は金融機関によって異なりますが、普通預金程度の低い金利が適用されることもあります。
定期預金の預け入れ期間が長いほど、そして預け入れ金額が大きいほど、受取利息は大きくなりやすいです。
ですから、もし現在預け入れ中の定期預金の満期が近づいているようであれば、満期が来て利息を受け取ってから預け替えをしたいです。
なぜなら、解約利率の適用で受取利息が大幅に減るのはもったいないからです。
逆に運用中の定期預金が預け入れをしたばかりなら、なるべく早く預け替えたいです。
預け入れをしたばかりなら元々の受取利息は微々たるものなので、中途解約による受取利息の減少はあまり気になりません。
受取利息の減少分は、金利の高い定期預金の運用でカバーできるでしょう。
このように定期預金を預け替える際には、単に双方の金利のみを比較するだけでは不十分です。
定期預金の運用を始めた時期、満期までの残りの期間、満期を迎えたときに受け取れる利息がいくらになるのか等を、預け替えを検討中の新たな定期預金の諸条件と比較する必要があります。
では、満期の到来を待たずに定期預金の預け替えをする場合は、具体的に新旧の定期預金の金利や利息をどのように比較すればよいのでしょうか?
例えば1年満期、金利1%のAという定期預金商品に元本100万円を預け入れしたとします。
ところが、定期預金Aを運用している途中でさらに金利が高い定期預金Bを見つけ、預け替えを検討したとしましょう。
受取利息の計算式は、「受取利息=預け入れ金額(円)×金利(%)÷365(日)×預け入れ日数(日)」です。
よって、1年満期の定期預金Aの受取利息は、
1,000,000(円)×0.01(%)÷365(日)×365(日)=10,000(円)です。
そして今、定期預金Aから定期預金Bに預け替えをしたいと考えています。
その場合、定期預金Bに預け替えをした時点から、元々預け入れをしていた定期預金Aの満期日までがどれくらいの期間かに着目をします。
その期間の定期預金Bの受取利息が、元々定期預金Aに預け入れをしておけば受け取れたはずの利息の10,000円を上回れば、預け替えをするメリットがあります。
もちろん定期預金Aの満期日が近づくほど、定期預金Bの金利が高くならなければ、定期預金の預け替えをする意味は薄れます。
では引き続き、定期預金Aと定期預金Bのケースで考えてみましょう。
受取利息から金利を求める計算式は、「金利(%)=受取利息(円)÷預け入れ金額(円)×365(日)÷預け入れ日数(日)」です。
ここでは、定期預金Aの満期日まで残り90日の時点で、定期預金Bへの預け替えを検討すると仮定します。
受取利息から金利を求める計算式に当てはめると、
金利(%)=10,000(円)÷1,000,000(円)×365(日)÷90(日)となります。
ですので、定期預金Bの金利がおよそ4.055%よりも高ければ預け替える意味があります。
厳密にいえば定期預金Aを中途解約する際には、解約利率の適用による受取利息が発生しますが、ここではそれを考えに入れないものとします。
このように定期預金Aの満期日が近くなるほど定期預金Bの金利が高くないと、定期預金の預け替えをする意味は薄れます。
また、実際に定期預金の預け替えをする際には、これまで定期預金を預け入れていた金融機関から新しく定期預金を預け替える金融機関へお金を移動させなければなりません。
資金を移動させる方法に色々ありますが、やはり振り込みが安全性と利便性において他の方法よりも優れています。
しかし、振り込みをするには振込手数料がかかります。
預け替えをする定期預金の金額がそれほど大きくなければ、受取利息も少額です。
すると振込手数料が受取利息を上回るかもしれず、それでは預け替えをする意味がありません。
そこで、できるだけ振込手数料を抑えるには、インターネット銀行が活用できます。
無条件で月に何回か他行宛振込手数料が無料になるインターネット銀行もあります。
これまで定期預金を預け入れていた金融機関から預け替えたい金融機関に資金移動させる際に、そのようなインターネット銀行を経由させれば振込手数料を無くせます。
一般的に金融機関は各々の提携ATMネットワークに加入しており、提携金融機関同士なら、相互のATMでの引き出しや預け入れの手数料が無料になっている場合が多いです。
ですから下準備として、まず取引金融機関と提携しているインターネット銀行を探して、口座開設をしておきましょう。
ATMネットワークシステムを上手に利用すれば、定期預金を預け入れしている金融機関からネット銀行に手数料をかけずに資金を移動できます。
そして更に、インターネット銀行の他行宛振込手数料が無料になるという特徴を生かして、インターネット銀行から新しく定期預金を預け替えしたい金融機関へ資金を振り込みます。
そうすれば振込手数料をかけることなく、定期預金を預け替えするための資金が移動できます。
このようにインターネット銀行を上手に活用すれば、資金移動や振り込みなどの手数料を抑えられます。
一般的に、都市銀行の定期預金金利は高くありません。
例えば、これまで三井住友銀行で預け入れをしていた定期預金を、高水準な金利で定評のあるオリックス銀行の定期預金に預け替えるケースで考えてみましょう。
三井住友銀行は、インターネット銀行であるソニー銀行の提携金融機関です。
三井住友銀行のATMを利用すれば、ソニー銀行の普通預金口座への入金は平日、土日祝日とも24時間、手数料無料で利用できます。
そこで、三井住友銀行にある定期預金を解約して、三井住友銀行の普通預金口座に入金します。
そして三井住友銀行のATMで三井住友銀行のキャッシュカードを利用して、現金を普通預金口座から出金します。
それから同じATMを利用して、現金をソニー銀行のキャッシュカードでソニー銀行の普通預金口座へ入金します。
一方、ソニー銀行では月に一度、手数料無料で他行宛の振込ができます。
そのサービスを利用して、資金をネット振込でソニー銀行からオリックス銀行の普通預金口座に移動します。
その後に資金をオリックス銀行で定期預金に預け替えればよいでしょう。
インターネット銀行であるオリックス銀行は、通帳やキャッシュカードを発行していません。
キャッシュカードがないので、一般の金融機関ATMを利用した取引は一切できず、入出金をするには他の銀行を仲介して振り込みをするしか方法がありません。
ですので、ソニー銀行のように振込手数料が無料になる金融機関を利用するのがもっとも効率的です。
定期預金は元本保証の金融商品なので、大切な資金を減らす心配がありません。いったん預け入れをすれば資金は増えていきます。
しかし、もう一歩進んで金利の高い定期預金に預け替えをすれば、資金をより増やせる可能性があります。そのための一つの方法が定期預金の見直しです。
金利状況は日々変化するので、つねに金利優遇などのキャンペーン情報に敏感になりたいです。そうすれば定期預金の預け替えのタイミングを見逃しません。