引っ越しに関わる定期預金の諸手続は、引っ越しの前にも行えますし、引っ越した後にも行えます。
ただし、もし頻繁に引っ越しをする可能性があるのなら、全国のどこにいても利用できる「ゆうちょ銀行」や「インターネット銀行」などに口座開設をして定期預金を預け入れておくと、引っ越しに関わる諸手続を行う必要がなくなります。
転勤などで引っ越しをする際に見落としがちなのが、これまで取引してきた金融機関の口座に関わる手続きです。
特に定期預金に関わる諸手続きは、普通預金口座しか持っていないケースと比較して複雑になる傾向にあります。
口座の解約や開設などの手続きは煩雑になりがちなので、金融機関の口座に関わる様々な手続きには時間的なゆとりを持ちたいです。
引っ越し先が近いのか遠いのか、また引っ越し先にこれまでの取引金融機関の支店があるのかないのか等によって、口座に関わる手続きの内容はかなり異なります。
引っ越しに関わる定期預金の諸手続きをスムーズに進めるためには、どのような事前準備をすればよいのかを具体的に見ていきましょう。
まず最初に「引っ越し先に取引金融機関の支店があるのかどうか?」を確認しましょう。
取引金融機関の支店の有無によって、定期預金に関わる諸手続きの内容は大きく異なります。
もし引っ越した移転先に取引金融機関の支店があるのなら、その支店で取引金融機関の通帳やキャッシュカードを今まで通り利用できるので、そのまま口座を使いつづけられます。
もちろん以前の取引支店から引っ越し先の最寄りの支店へ、口座を移管することもできます。
しかし、この手続きは利用者にとっても金融機関側にとっても大変に煩雑で、手続きに時間がかかるうえに、解約請求書や委任状などの書類を何枚も書かなければなりません。
また口座移管手続きを行うと、これまでの口座番号が変更されることになり、通帳やキャッシュカードも新しく作成しなければなりません。更にクレジットカードなどでの代金引き落としがある場合には、それらの変更手続きも行わなくてはなりません。
現在は口座に関わる手続きのほとんどは、取引支店以外の支店でも取り扱いが可能です。
ですので取引支店が離れていても、不便を感じることはほとんどありません。
どうしても取引支店を最寄の支店に変更したい場合は、口座移管手続きよりも、現在の取引支店の口座を解約して、引っ越し先にある取引金融機関の最寄りの支店で新たに口座開設をする方が手続きが簡単です。
ただ、たとえ口座移管の手続きをしない場合でも、住所変更手続きだけは必ず忘れないように行いましょう。
住所変更手続きを怠ると、取引に関する明細書などの金融機関からの郵便物が届かなくなってしまいます。
もし移転先に、これまでと同じ取引金融機関の支店がない場合には、引っ越し先の最寄りの金融機関で新しく口座開設をすることになります。
引っ越しまでに時間的なゆとりがあるのなら、事前に引っ越し先の金融機関で口座開設をした方が良いでしょう。
最近はわざわざ金融機関の窓口に足を運ばなくても、メールオーダーサービスやインターネットを利用して金融機関に新しい口座を開設できます。
引っ越し先の金融機関で先に口座開設をしておけば、引っ越しをするまでの間に取引金融機関の定期預金を解約して、引っ越し先の金融機関で新たに定期預金を預け入れる準備ができます。
ちなみに定期預金の中途解約は、基本的には窓口でしか受け付けない金融機関がほとんどです。
これまで預け入れしていた定期預金は、取引金融機関の支店窓口で解約手続きをして、普通預金口座に入金しておきます。
普通預金口座に解約した定期預金のお金を入金しておけば、そこから引っ越し先で口座開設した金融機関の普通預金口座へ振り込みをして資金移動ができます。
引っ越し先の金融機関で口座開設をする時に、インターネットバンキングを利用できるように手続きしておけば、引っ越す前でもインターネットを利用して、引っ越し先の金融機関で定期預金に預け入れが可能です。
そして、これまでの取引金融機関の口座をもう利用しないのであれば、引っ越しまでに口座の解約手続きをしておきたいです。
口座の解約手続きは基本的には支店の窓口でしか行えません。また、利用しなくなった口座をそのまま放置すると、一定期間を経過した後に休眠口座となります。
利用しなくなった口座に少しでも残高がある場合には、きちんと解約の手続きをしたいです。後で残高に気付いても、煩雑な手続きをしなければ自分のお金を取り戻せません。
引っ越しするまでに時間的な余裕があるのなら、事前に引っ越し先の金融機関に口座開設ができます。しかし、急な引っ越しのときにはどうすれば良いでしょうか?
引っ越しが急で引っ越し先の金融機関に新しく口座開設をする時間的なゆとりがない場合には、引っ越し後に金融機関の口座に関わる諸手続きを行います。
引っ越し先の金融機関での口座開設は、窓口以外にもメールオーダーやインターネットも利用できるので、それほど難しくありません。
しかし問題は、これまで取引してきた金融機関からどのように引っ越し先の金融機関へ定期預金を移動させて、今までの取引金融機関の口座を解約するかです。
少し時間と手間がかかりますが、遠方から取引金融機関の口座を解約できる方法があります。
具体的には、もし移転先に今までの取引金融機関の支店がない場合には、他の金融機関に依頼して取引金融機関の解約手続きを代行してもらえる「他行代金取立制度」を利用しましょう。
この他行代金取立制度では、依頼する金融機関と解約したい金融機関の双方に口座を持っていて、双方の口座名義人が同一であれば、依頼する金融機関に解約したい金融機関の口座解約手続きを代行してもらえます。
ある程度の日数と1,000円前後の手数料がかかりますが、移転先に今までの取引金融機関の支店がない場合には大変に有効な手段です。
他行代金取立で今までの金融機関の口座が解約されると、他行代金取立を依頼した金融機関の普通預金口座に解約された定期預金などのお金が入金されます。そうしたらまた新しく定期預金に預け入れをすればよいでしょう。
移転先で口座開設した金融機関に他行代金取立を依頼する場合に必要な持ち物があります。
具体的には、これまで取引していた金融機関の通帳、キャッシュカード、届け印、引っ越し先で新しく口座開設した金融機関の通帳、運転免許証などの本人確認書類、他行代金取立にかかる手数料などです。
口座を解約したい金融機関や、その手続きを依頼する金融機関によって必要な持ち物は異なる場合がありますので、必ず事前に双方の金融機関に電話などで確認をします。
仕事の関係で定期的に引っ越しを伴う転勤があるのなら、ゆうちょ銀行やネット銀行を利用するのも一つの方法です。
ゆうちょ銀行は大手都市銀行などをはるかにしのぐ支店網が強みで、日本中どこにでも支店があります。
またネット銀行は、その手続きのほとんどをインターネットを利用して済ますことができ、入出金は大手コンビニエンスストアに設置されているATMや大手都市銀行などのATMを利用します。
全国展開している大手コンビニエンスストアや大手都市銀行はいくつもあります。
ほとんどのネット銀行はそれらと提携を結んでおり、手数料無料でATMを利用できるので入出金に困ることはありません。
ただし、ゆうちょ銀行やネット銀行を利用する場合でも、引っ越しをする際には必ず住所変更届の提出が必要である点は他の金融機関を利用する場合と同じです。
引っ越しで取引金融機関を変更すると、せっかくこれまで運用してきた定期預金を中途解約しなくてはなりません。
すると受取利息の面で不利になり、手続き自体も大変に面倒です。しかし全国どこにいても利用できる金融機関に定期預金を預け入れしておけば、そうした心配も無くなります。
引っ越しをする可能性がある場合には、それらの点をふまえて定期預金を預け入れる金融機関を検討したいです。