定期預金と退職金

定期預金と退職金

退職金は、老後の生活費や医療費、住宅修繕、介護費用などに使う可能性がある大切な資金です。

そのため、退職直後から全額を高リスク商品へ投資するのではなく、当面使う予定のない資金の一部を定期預金などの元本保証型商品で管理する方法は有力な選択肢です。

一方、退職金向けの金融商品には、高い金利を前面に出した短期定期預金や、投資信託・ファンドラップとのセットプランもあります。表示金利だけで判断せず、商品全体の条件を確認することが重要です。

退職金専用の定期預金とは?

退職金専用定期預金は、退職金を受け取った人などを対象に、通常の定期預金より高い特別金利を設定する商品です。

多くの場合、対象者、退職金の受取時期、最低預入額、申込回数、預入期間などに条件があります。

「退職金だから自動的に高金利になる」のではなく、各金融機関が定める条件を満たして初めて特別金利が適用されます。

2026年も退職金向け高金利定期はある

金融機関・例 預入期間 金利・条件の例
みずほ銀行 3か月 年2.0%、条件達成で最大年2.2%(2026年7月時点)
三菱UFJ銀行 3か月 年2.2%(2026年4月〜9月の会員向けプラン例)
三菱UFJ信託銀行 3か月 年2.5%、条件により年3.0%の例あり

これらは2026年時点の一例であり、金利・対象者・最低預入額・キャンペーン期間は変更されます。

高金利でも「3か月だけ」という商品が多い

退職金定期預金の高金利

退職金向け定期預金では、3か月ものなど短期商品に特別金利を付ける例が多くあります。

ここで注意したいのは、表示されている金利は通常「年利」であることです。

年2.0%の3か月定期だからといって、3か月で元本の2.0%の利息を受け取れるわけではありません。

実際の利息は、預入日数に応じて日割りで計算されるのが一般的です。

年2%・3か月ものの計算例

1,000万円を年2.0%で90日間預ける単純な例なら、税引前利息は、

10,000,000円 × 2.0% × 90日 ÷ 365日 ≒ 49,315円

です。

個人の国内預貯金利息には原則20.315%の税金がかかるため、税引後利息は概算で約39,300円です。

「年2%だから3か月で20万円」ではありません。短期定期は、年利と実際の預入期間を分けて考えてください。

「表示金利の4分の1」は概算として使う

3か月ものの利息を概算する場合、年利を4分の1にして考える方法があります。

概算としては分かりやすい方法ですが、正確には「3か月=必ず90日」ではありません。

実際の預入日から満期日前日までの日数を使って計算するため、正確な受取額は銀行の商品説明やシミュレーションで確認してください。

初回満期後は通常金利へ戻ることがある

退職金定期預金の満期後の金利

退職金専用定期預金の特別金利は、「最初の3か月だけ」など初回預入期間に限られる商品が多くあります。

自動継続を選んでいる場合、初回満期後は満期日時点の同期間の店頭表示金利などで継続されるのが一般的です。

特別金利が年2%でも、その後も年2%で運用できるとは限りません。

退職金向け定期を利用する場合は、初回満期日をカレンダーなどに登録し、満期前に継続後の金利を確認しましょう。

満期時は預け替えを検討する

初回の特別金利が終了した後、通常金利へ大きく下がる場合は、他行の定期預金へ預け替える選択肢があります。

ただし、別の退職金専用定期へ再び申し込めるかどうかは、退職金の受取時期、申込回数、資金原資などの条件によって異なります。

詳しくは定期預金の預け替えをご覧ください。

「退職金受取後1年以内」とは限らない

退職金定期預金の申込期間

退職金専用定期の申込期限は金融機関によって異なります。

2026年現在は、1年以内の商品もあれば、3年以内を対象とする商品もあります。

たとえば、みずほ銀行や三菱UFJ銀行には、退職金受取後3年以内を対象とするプランがあります。

「退職してから何年以内なら利用できるか」は金融機関ごとに違うため、候補銀行ごとに確認してください。

資金原資の条件にも注意

退職金向け定期預金では、「退職金として受け取った資金」が対象となります。

さらに、

・退職金受取口座からの資金
・他行で受け取った退職金の預け替え
・申込日前○か月以内に新たに入金した資金
・退職金額を上限

などの条件が設定されることがあります。

普通預金に何年も置いていた資金を「退職金だったから」と後から申し込んでも、対象外になる場合があります。

最低預入額は大きいことがある

退職金向け定期預金は、最低預入額が100万円・500万円・1,000万円など、通常の定期預金より大きく設定されることがあります。

2026年の例では、みずほ銀行の退職金特別金利円定期預金は最低1,000万円、三菱UFJ銀行の退職金円定期金利優遇プランも1,000万円以上となっています。

退職金が少額なら、通常の高金利定期やネット銀行のキャンペーンの方が利用しやすいこともあります。

退職金であることを確認する書類

退職金定期預金の必要書類

退職金向け定期預金では、退職金を受け取ったことや受取金額を確認できる書類を求められることがあります。

金融機関によって異なりますが、例として、

・退職所得の源泉徴収票
・退職金支払証明書
・退職金の振込が確認できる通帳・取引明細
・勤務先が発行した退職金額の分かる書類

などがあります。

本人確認書類や届出印などが必要な場合もあるため、申込前に必要書類を確認してください。

申込方法は窓口限定の商品もある

通常の定期預金はアプリ・インターネットバンキングで作れる銀行が増えています。

一方、退職金専用商品は、退職金の確認書類や商品説明が必要なため、窓口限定のケースがあります。

たとえば三菱UFJ銀行の2026年の退職金円定期金利優遇プランは窓口限定です。

「通常定期はネットで作れるから退職金定期もネットで申し込める」とは限りません。

定期預金だけの商品とセット商品を区別する

退職金定期預金と投資信託のセット商品

退職金向け商品には、円定期預金だけを利用する「定期預金コース」と、投資信託やファンドラップと同時に申し込むことで定期預金金利を大幅に上乗せする「セット型」があります。

広告では年5%、年10%を超えるような定期預金金利が表示されることもありますが、その高金利部分だけを見てはいけません。

投資信託・ファンドラップ部分は元本保証ではなく、価格変動によって損失が出る可能性があります。

金融庁もセット販売への注意を案内

金融庁は、円定期預金と投資信託をセットで購入する商品について、特別金利の適用期間が数か月程度に限定されること、投資信託には元本割れリスクや販売手数料・信託報酬等の費用があることを確認するよう案内しています。

定期預金部分で得られる数万円の利息より、投資信託部分の価格下落や手数料の方が大きくなる可能性もあります。

「定期預金が年12%」でも全体利回りとは違う

高金利セット商品の注意点

たとえば、投資信託やファンドラップを一定額購入することを条件に、同額の3か月定期へ年12%の特別金利を付ける商品があるとします。

年12%が適用されるのは「定期預金部分の3か月間」だけです。

投資信託部分を含めた資産全体が年12%で増えるわけではありません。

セット商品では、「定期預金部分の利息」「投資商品の損益」「販売・運用コスト」を合算して判断してください。

退職直後に全額を一つの商品へ入れない

退職直後は、今後の生活費や年金受給額、医療費、住宅費などがまだ固まっていない場合があります。

そのため、退職金全額を5年・10年など長期間の定期預金へ一括して固定するより、生活費、緊急予備資金、中期運用資金などに分ける方法があります。

金利上昇局面では、短期定期と長期定期へ分散して満期時期をずらす方法もあります。

生活費は普通預金などへ残す

退職金と老後資金

退職金のうち、近い将来使う可能性がある資金まで定期預金へ入れると、急な支出時に中途解約が必要になります。

1〜2年程度の生活費や緊急予備資金は、普通預金など流動性の高い場所へ残しておく考え方があります。

そのうえで、当面使わない部分だけを定期預金で運用すると管理しやすくなります。

退職金を複数の銀行へ分散する

退職金は1,000万円を超えることもあります。

対象金融機関の一般的な円定期預金は預金保険制度の対象ですが、一般預金等は、預金者1人につき1金融機関ごとに合算して、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。

退職金2,000万円を1行へ預ける場合、普通預金など同じ銀行の他の対象預金も含めて1,000万円を超える部分は全額保護ではありません。

詳しくは定期預金とペイオフをご覧ください。

同じ銀行の普通預金も合算される

たとえば同じ銀行に、普通預金300万円、退職金定期1,000万円がある場合、預金保険上は一般預金等として合計1,300万円で考えます。

「定期預金が1,000万円以内だから全部保護される」という意味ではありません。

高額な退職金を預ける場合は、すでにその銀行へいくら預けているかも確認してください。

金利だけで銀行を決めない

退職金定期預金の銀行比較

退職金定期を比較するときは、次の条件を確認してください。

・特別金利
・特別金利の適用期間
・税引後の実際の利息
・最低預入額・上限額
・退職金受取後の申込期限
・初回満期後の金利
・中途解約利率
・投資信託等とのセット条件
・預金保険制度
・満期後の資金移動のしやすさ

退職金専用定期が必ず最も高金利とは限らない

退職金専用という名前が付いていても、その時点のネット銀行、地方銀行、信用金庫などのキャンペーン定期の方が高金利な場合があります。

退職金専用定期だけでなく、一般向けの高金利定期も同じ預入期間で比較しましょう。

詳しくは定期預金はどこに預ける?をご覧ください。

金利上昇局面では短期定期も有力

今後さらに預金金利が上がる可能性がある局面で、退職金全額を長期定期へ固定すると、後から高金利商品が出ても乗り換えにくくなります。

3か月・6か月・1年などへ分散し、満期ごとに金利を見直す方法があります。

一方、将来金利が下がると考えるなら、長期固定が有利になる場合もあります。

退職金定期の中途解約

退職金専用定期も、一般的な円定期預金と同様に、満期前に解約すると特別金利が適用されず、所定の中途解約利率になる商品があります。

みずほ銀行の退職金特別金利円定期預金でも、初回満期日前に解約すると特別金利は適用されず、所定の期日前解約利率が適用されます。

数か月後に使う予定がある資金を、特別金利だけを理由に定期預金へ入れないようにしましょう。

退職金を受け取ったら最初にやること

1. 退職金の総額を確認
2. 1〜2年で使う予定の資金を分ける
3. 現在の普通預金・定期預金残高を確認
4. ペイオフの1,000万円枠を確認
5. 退職金専用定期と一般定期を比較
6. 特別金利の適用期間と満期後金利を確認
7. セット商品なら投資部分のリスク・費用を確認

よくある質問

退職金専用定期預金は普通の定期預金より金利が高いですか?

高い特別金利が設定される商品があります。ただし、3か月など短期間のみの適用が多く、最低預入額や退職金受取時期などの条件があります。

年2%の3か月定期なら3か月で2%の利息が付きますか?

いいえ。年2%は年利表示です。実際の利息は預入日数に応じて計算されます。

退職金を受け取って1年以上たつと利用できませんか?

金融機関によります。1年以内の商品もありますが、2026年現在は退職金受取後3年以内を対象とする商品もあります。

投資信託とセットの退職金プランは安全ですか?

円定期預金部分は元本保証でも、投資信託やファンドラップ部分は元本保証ではありません。高い定期預金金利だけでなく、投資部分の価格変動リスクや費用を含めて判断してください。

退職金2,000万円を1つの銀行へ預けても全額保護されますか?

一般的な定期預金などの一般預金等は、1人・1金融機関ごとに元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。2,000万円全額が預金保険で保護されるわけではありません。

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※本ページは2026年8月時点の一般的な退職金向け定期預金の仕組みをもとに解説しています。金利、対象者、退職金受取後の申込期限、最低預入額、申込回数、必要書類、満期後の金利、中途解約条件などは金融機関・商品によって異なります。実際の申込時には、各金融機関の公式サイト・商品概要説明書・預金規定で最新条件をご確認ください。

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