確定拠出年金とは、拠出した掛金が個人ごとに管理されて、掛金とその運用収益の合計額をもとに年金受取額が決定される年金制度です。
確定拠出年金には「企業型」もあれば、「個人型」の確定拠出年金(愛称iDeCo(イデコ))もあります。これらの確定拠出年金では定期預金の運用も可能です。
定期預金は貯蓄の基本となる金融商品であり、「まとまったお金はとりあえず定期預金に預ける」という方もいます。
現在のような低金利では、定期預金には魅力的な利息がつくとはいえません。
しかし定期預金のもつ商品性には、元本が確保される安心感や、いざという時に中途解約して現金を引き出せる柔軟性があります。
確定拠出年金でも、定期預金の運用ができます。
確定拠出年金とは、拠出した掛金が個人ごとに管理されて、掛金とその運用収益の合計額をもとに、年金受取額が決定する年金制度です。
確定拠出年金には、企業が退職金制度として導入して、企業が掛金を拠出する「企業型」の確定拠出年金があります(規約に定めた場合は、加入者も拠出可能)。
もう一方で、加入者自身が掛金を拠出する「個人型」の確定拠出年金(愛称iDeCo(イデコ))もあります。
平成29年の確定拠出年金制度の改正によって、興味を持った人も多いです。
確定拠出年金は加入者が運用商品を選択して、運用次第で将来の年金受取額が変わります。
運用商品は安全性を重視する元本確保型商品の定期預金など、多岐にわたります。
ここでは確定拠出年金で定期預金を運用する前に、一般的な定期預金との違いをご紹介します。
はじめに定期預金の流動性についてです。
一般的な定期預金は満期日がくれば現金を引き出せます。
また満期前の中途解約は、中途解約利率で利息は減額されますが、元本は確保した状態で現金を引き出せます。
一方で確定拠出年金の定期預金は、老後資金を積み立てることが目的なので、原則として60歳までは手元に現金として受け取れません。
急にお金が必要になった場合でも、途中で掛金を引き出すことができないために流動性が低いのです。
そのため確定拠出年金で定期預金の運用をする際は、60歳まで使わない余裕資金を無理のない範囲で積み立てる必要があります。
なお、確定拠出年金の定期預金は原則として60歳までは現金化できません。
しかしながら、他の金融商品に変更しての運用が可能です。
次に税制面についてです。
一般的な定期預金は所得控除の対象ではありませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo)の定期預金は、掛金が全額所得控除の対象です。
確定拠出年金への未加入時と比較すると、所得税や住民税の支払い額が軽減するので税制面でのメリットがあります。
企業型確定拠出年金の場合は、企業が拠出した掛金は全額損金に算入され、加入者が拠出した掛金は全額所得控除の対象となります。
加えて、一般的な定期預金は利息部分に20.315%の税金がかかりますが、確定拠出年金の定期預金の利息は非課税です。
また確定拠出年金は60歳以降になって、積み立てた資金を受け取る際にも税制が優遇されます。
具体的には、年金として受給する場合は公的年金等控除の対象となり、一時金として一括で受給する場合は退職所得控除の対象です。
このように税制面で優遇されている確定拠出年金ですが、気になることとして特別法人税の存在があります。
現在は凍結されていますが、本来、確定拠出年金の積立金(拠出金+運用収益)には、年間1.173%の特別法人税がかかります。
この特別法人税が今後に凍結解除された場合は、確定拠出年金を低金利の定期預金で運用していると、税引き後に元本が割れる可能性があります。
続いて手数料についてですが、一般的な定期預金を預ける際には手数料がかかりません。
しかし確定拠出年金の定期預金の場合は、定期預金自体に手数料はかかりませんが、確定拠出年金として口座を管理するための手数料がかかります。
企業型確定拠出年金の手数料は、企業が負担します。個人型確定拠出年金(iDeCo)の手数料は、全額加入者の負担となります。
例えば毎月の定期預金の掛金を1万円とした場合は、1万円から手数料を引いた金額が確定拠出年金の定期預金として積み立てられます。
掛金1万円がそのまま積み立てられるわけではありません。なお毎月発生する手数料は、
(1)国民年金基金連合会に支払う手数料
(2)事務委託先の金融機関(信託銀行)に支払う手数料
(3)運営管理機関に支払う手数料
の3点です。
また、初回の掛金からは確定拠出年金の口座開設にかかる手数料も引かれます。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合は、運用する金融機関を銀行、証券会社、保険会社などから自由に選べます。
ですので、毎月負担する手数料の金額も金融機関を選択する際の比較のポイントとなります。
もちろん、運用する金融機関の商品ラインナップも重要ですが、確定拠出年金は長期の運用なので、毎月の手数料は安い方がよいでしょう。
ちなみに金融機関の中には楽天証券やSBI証券のように、一部の手数料を無料としている所もあります。
(※ なお、企業型確定拠出年金の場合は、運用する金融機関は企業が選定するので、加入者が金融機関を選択できません。)
最後におさえておきたいこととして、ペイオフがあります。
ペイオフとは預金保険制度による預金者保護の一環で、金融機関が破綻した場合に預金保険機構が破綻した金融機関にかわって、預金者に一定額の払戻しを行う制度です。
定期預金や利息のつく普通預金等(一般預金等)は、預金者一人あたり一金融機関ごとに合算され、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
一般的な定期預金はペイオフの対象ですが、確定拠出年金の定期預金もペイオフの対象です。
そのため同じ金融機関で一般的な定期預金と確定拠出年金の定期預金を運用する場合は、その金額は合算されます。
既に一つの銀行で多額の定期預金を預けており、個人型確定拠出年金(iDeCo)で定期預金の運用を考えている場合は、一般的な定期預金とは別の金融機関で個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入を検討するのも一つの方法です。
また、すでに多額の一般的な定期預金と、企業型確定拠出年金の定期預金を同じ金融機関で管理していることもあります。
そのような場合には、一般的な定期預金を企業型確定拠出年金とは別の金融機関に預け替えるのも一法です。
(※ なお、一般的な定期預金や確定拠出年金の定期預金や利息のつく普通預金等、ペイオフの対象となる預金等の合算額が1,000万円に満たない場合は、ペイオフの対象となる預金の全額が保護されるので、運用する金融機関の変更等をする必要はありません。)
ここまで確定拠出年金の定期預金と、一般的な定期預金の違いについてご説明してきました。
違いをまとめると、企業型確定拠出年金の定期預金と個人型確定拠出年金(iDeCo)の定期預金の特徴は、いずれも
(1) 原則60歳まで掛金の引き出しができない
(2) 税制優遇により、利息が非課税である
(3) 60歳以降に資金を受けとる際にも税制優遇がある
といえます。
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合は、毎月手数料がかかることも忘れてはいけないポイントです。
そして掛金の全額が所得控除になるという節税効果も重要です。
ただし、確定拠出年金の全額を定期預金で運用した場合は、現在のような低金利では確定拠出年金の税制面でのメリットをあまり活かしきれない可能性があります。