オーストラリアで定期預金に相当する商品は、一般にTerm Deposit(ターム・デポジット)と呼ばれます。
一定期間お金を預け、その期間中の金利を固定する仕組みで、日本の定期預金に非常に近い金融商品です。
ただし、日本の円定期預金とは、中途解約のルール、預金保護制度、税金、口座開設方法などに違いがあります。
Term Depositは、あらかじめ決めた期間、一定額を銀行などへ預ける預金です。
預入期間は金融機関によって異なり、1か月・3か月・6か月・1年・2年・5年など、短期から長期までさまざまです。
一般には預入時に金利が決まり、満期まで固定されます。
預入期間中に市場金利が下がっても契約金利を維持できる一方、市場金利が上がった場合は低い金利のまま満期まで固定されることがあります。
オーストラリアでは「Term Deposit」という表現が一般的です。
金利表示で使われるp.a.は「per annum」の略で、「年率」を意味します。
たとえば「4.00% p.a.」なら、年4.00%という意味です。
| Term Deposit | Savings Account | |
|---|---|---|
| 金利 | 預入期間中は固定が一般的 | 変動金利が一般的 |
| 資金の自由度 | 満期まで制限される | 比較的自由 |
| 中途解約 | 通知期間・利息減額がある場合 | 通常は随時払戻し可能 |
| 向いている資金 | 一定期間使わない資金 | 生活費・緊急予備資金 |
Term Depositを選ぶときは、表示金利だけでなく、
・預入期間
・最低預入額
・利息の支払時期
・満期後の取扱い
・中途解約ルール
・口座維持費の有無
・FCSの対象か
まで確認します。
金利だけが高くても、必要なときに資金を取り出せない商品では、自分に合った定期預金とはいえません。
オーストラリア政府の金融情報サイトMoneysmartは、Term Depositを満期前に解約する場合、金融機関によっては最大31日前までの通知が必要になると案内しています。
また、中途解約すると、受け取れる利息が減額されたり、利息をまったく受け取れなかったりする場合があります。
日本の定期預金のように「今日解約してすぐ全額を使える」とは限らない点に注意してください。
31日前通知などの条件があるため、急な病気、帰国、引っ越しなどですぐ必要になる可能性のあるお金は、Term Depositではなく流動性の高い口座へ残しておく方が安全です。
Term Depositには、満期まで使う予定のない余裕資金を預けます。
Term Depositでは、満期時に元利金を普通預金などへ受け取る商品と、自動的に新しいTerm Depositへ再投資される商品があります。
自動更新の場合、更新後は満期日時点の新しい金利が適用されるのが一般的です。
最初に高金利で預けても、その金利が次の満期まで自動的に引き継がれるとは限りません。
Moneysmartは、Term Depositの満期時には、更新後の金利や条件を確認し、必要であれば他の商品と比較することを勧めています。
自動更新される前に、現在のSavings Accountや他行のTerm Depositと比較するとよいでしょう。
ADIとはAPRA(Australian Prudential Regulation Authority)の認可を受けて預金業務を行う銀行・信用組合・住宅金融組合などの金融機関そのものです。
預金を保護する制度は、オーストラリア政府のFinancial Claims Scheme(FCS)です。
Financial Claims Scheme(FCS)は、対象となるオーストラリア国内設立のADIが破綻し、政府が制度を発動した場合に預金者を保護する制度です。
保護上限は、預金者1人につき1ADIあたり25万豪ドルです。
対象には、
・Transaction Account
・Savings Account
・Term Deposit
・一部のOffset Account
などが含まれます。
APRAは、豪ドル建てのTerm DepositをFCSの対象預金として明記しています。
ただし、すべての金融商品が対象ではありません。
外国通貨建て預金や、オーストラリア国外支店に置かれた預金などはFCSの対象外です。
25万豪ドルは口座ごとではなく、同じADIに持つ対象預金を合計して計算します。
たとえば同じ銀行に、
・Savings Account:10万豪ドル
・Term Deposit:20万豪ドル
を持っていれば、合計30万豪ドルです。
FCSの保護上限は25万豪ドルなので、通常は残り5万豪ドル部分はFCSによる全額保護の対象ではありません。
オーストラリアでは、異なる銀行ブランドが同じADIの銀行免許で運営されている場合があります。
APRAは、FCSの25万豪ドル上限はブランド単位ではなく、銀行免許を持つADI単位で計算すると説明しています。
預金を複数銀行へ分散する場合は、「ブランド名が違うか」ではなく「別のADIか」を確認してください。
共同名義口座は、原則として各口座名義人が均等な持分を持つものとしてFCSの保護額を計算します。
2人名義の共同口座に20万豪ドルあれば、原則として1人10万豪ドルずつとして各人の保護額へ加算されます。
ドイツやスペインには、住宅売却代金などの一時的な高額預金について通常上限を超えて保護する仕組みがあります。
一方、APRAはオーストラリアのFCSについて、資金の出所・目的・保有期間にかかわらず、基本上限は25万豪ドルであり、住宅売却代金などに対する追加上限はないと説明しています。
25万豪ドルを大きく超える現金を一時的に保有するときは、複数ADIへの分散も検討してください。
APRAは、FCSが政府によって発動された場合、対象預金について原則として7暦日以内の支払いを目指すとしています。
実際の支払方法・手続きは制度発動時にAPRA等から案内されます。
オーストラリア国内で営業している銀行でも、外国銀行の「支店」として営業している場合はFCS対象外です。
一方、外国銀行グループでも、オーストラリア法人として設立されAPRA認可を受けたADIであれば対象になる場合があります。
Term Depositを契約する前に、APRAのDeposit Checkerや金融機関の説明でFCS対象かを確認してください。
オーストラリアの税務上の居住者がTerm Depositから受け取る利息は、一般に課税所得として申告します。
日本の預金利息のように「一定率の源泉分離課税だけで完結」という仕組みではなく、給与など他の所得とあわせて所得税を計算します。
課税関係は税務上の居住者区分によって異なります。
ATO(Australian Taxation Office)は、銀行が預金者のTax File Number(TFN)を把握していない場合、利息から最高限界税率相当で税を源泉徴収することがあると案内しています。
源泉徴収された金額は、条件を満たせば確定申告時に税額控除として精算します。
オーストラリアの税務上の非居住者が豪州銀行預金から利息を受け取る場合は、非居住者向けの源泉徴収税が適用されます。
一般的な利息の非居住者源泉税率は10%ですが、租税条約や個別事情によって扱いが変わる場合があります。
日本居住者が豪州銀行のTerm Depositを利用する場合は、オーストラリア側だけでなく日本側の申告・外国税額控除なども確認してください。
銀行はAUSTRACのAML/CTF規制に基づいて本人確認を行い、必要な本人確認資料は金融機関・申込方法・顧客属性によって異なります。
AUSTRACは、銀行口座をオンライン・リモートで開設するケースも想定して本人確認ルールを定めています。
本人確認書類の種類、住所、税務情報、ビザ・居住状況など、必要な情報は銀行によって異なります。
Term Depositだけを単独で申し込める銀行もあれば、Transaction AccountやSavings Accountを先に作成し、そこから資金を振り替える銀行もあります。
オーストラリアでは、紙通帳よりもアプリ・インターネットバンキング・電子明細で残高や取引を管理する銀行が中心です。
Term Depositの預入額・満期日・適用金利も、オンライン画面や契約確認書で管理するのが一般的です。
口座維持費は商品改定で変わることがあり、無料口座、条件付き無料、有料口座など銀行・口座によって異なります。
Term Depositそのものの手数料だけでなく、資金の受け皿となるTransaction Account等の維持費も確認してください。
まとまった資金をTerm Depositへ預ける場合、現金を持ち込むより銀行間送金を利用する方法が一般的です。
比較するときは、
・為替レート
・海外送金手数料
・中継銀行手数料
・受取銀行手数料
まで含めて考えてください。
オーストラリアのTerm Depositは通常、豪ドル建てです。
豪ドルベースで元本が維持されても、日本円から豪ドルへ交換して預けた場合は為替変動の影響を受けます。
たとえば満期時に豪ドル安・円高になれば、豪ドルでは利息を受け取っていても、日本円へ戻した時点で元本割れする可能性があります。
「オーストラリアの銀行預金で元本保証」=「日本円ベースでも元本保証」ではありません。
Term Depositは日常的にATMから引き出す口座ではありません。
満期金や解約金はいったんTransaction AccountやSavings Accountへ入金され、そこからATM・カード等を使う形が一般的です。
ATM手数料やCash Outの可否は、銀行・カード・店舗によって異なります。
Moneysmartは、Term Depositを装った偽投資商品・詐欺にも注意を呼び掛けています。
特に、
・市場水準より不自然に高い金利
・「必ずインフレに勝てる」といった広告
・突然の電話・メールによる勧誘
・本人確認書類を送るよう求める不審な連絡
・商品提供銀行とは異なる銀行口座への振込要求
には注意してください。
本物のTerm Depositを作る場合、預入先として示された金融機関とは無関係な第三者口座へ資金を振り込まないことが重要です。
1. 金利は何%p.a.か
2. 預入期間は何か月・何年か
3. 最低・最高預入額はいくらか
4. 利息は満期時・毎月・毎年などいつ支払われるか
5. 中途解約時に31日前通知が必要か
6. 中途解約で利息がどれだけ減るか
7. 満期後に自動更新されるか
8. FCS対象の豪ドル預金か
9. 同じADIの預金合計が25万豪ドルを超えていないか
10. 日本円から見た為替・税務まで含めても有利か
一般にTerm Depositと呼びます。銀行の商品ページでもこの表現が広く使われています。
FCS対象の豪ドル建て預金であれば、原則として預金者1人につき1ADIあたり25万豪ドルまで保護されます。普通預金やSavings Accountなど同じADIの対象預金と合算します。
金融機関・商品によって異なります。途中解約を認める商品でも最大31日前の通知が必要になったり、受取利息が減額・ゼロになったりする場合があります。
銀行によって異なります。非居住者を受け付けるか、オンライン本人確認が可能か、現地口座が必要かなどを個別に確認してください。
いいえ。豪ドル建てでは元本が維持されても、豪ドル安・円高になれば日本円換算で元本割れする可能性があります。
※本ページは2026年8月時点のAPRA、Moneysmart、AUSTRAC、ATO等の公表情報をもとに一般的な仕組みを解説しています。Term Depositの金利、預入期間、中途解約、31日前通知、口座開設条件、税務、口座維持費、FCS対象可否などは金融機関・居住地・商品によって異なります。実際の申込時には各金融機関、APRA、ATO等の最新情報をご確認ください。
