定期預金のことをカナダでは、「GIC(Guaranteed Investment Certificate、ギャランティード・インベストメント・サティフィケート)」と呼びます。
カナダの金融機関には銀行とクレジットユニオン(信用組合)があり、どちらでもGICを開設できます。
「定期預金」を英語の辞書で調べると「Term Deposit(タームディポジット)」とか「Fixed Deposit(フィックスドディポジット)」などと書いてありますが、カナダでは一般的に「GIC(Guaranteed Investment Certificate、ギャランティード・インベストメント・サティフィケート)」と呼ばれます。
カナダの代表的な金融機関として銀行の他にクレジットユニオン(信用組合)がありますが、どちらでもGICを開けます。GICは基本的にいったんお金を預けると満期まで解約できませんが、預金期間中に預金の一部または全額を引き出すオプション付きの商品もあります。しかしやはり長期で一切引き出しができないプランの方が金利は高いです。
カナダではRRSP(Registered Retirement Savings Plan レジスタード・リタイアメント・セービングス・プラン)とTFSA(Tax Free Savings Accout タックスフリー・セービングス・アカウント)と呼ばれる政府登録制の貯畜プランがあります。これらはカナダ国民及びカナダの永住権保持者のみに適用される政府の節税対策プランの事です。RRSPもTFSAも定期預金や投資信託によって運用されます。
RRSPは老後のための貯蓄プランで、毎年その年に投資できる金額が決まっています。RRSPにその年に預け入れた金額は同年の収入から除外されるので本来よりも少ない所得税を納めればよい事になります(節税)。
たとえば、今年の年収が5万ドルだとして、RRSPに1万ドル預け入れたとします、すると所得税がかかる金額は年収の5万ドルではなくRRSP分を引いた4万ドルのみになるわけです。カナダでは年収5万ドルにかかる所得税は20.5%、年収4万ドルにかかる所得税は15%です。この例えの場合、本来の年収5万ドルにかかる所得税20.5%の代わりに年収4万ドルにかかる所得税15%だけを支払えばいいのです。
ただし、老後にRRSPからお金を引き出す際に、税金がかかってきますが、引退後は今現在払っている税率よりも低くなるので損はしません。RRSPは原則老後のための貯蓄プランなので、長期の年利の高い定期預金を組む人も多いようですが、低金利の続く昨今は投資信託での運用に関心が集まっているようです。
またTFSAは2009年に始まった比較的新しいプランです。こちらも一年に投資できる金額が決まっています。ちなみに2017年の投資限度額は$5,500です。もし限度以上の投資をするとペナルティーが課されるので注意する必要があります。
なお、いったん限度額まで投資した後に全額引き出して口座の残高がゼロになったとしても、もうその年はそれ以上TFSA投資はできません。TFSAで得られた利息は非課税ですので非常に人々の関心が高いプランです。
先にカナダの代表的な金融機関には、銀行とクレジットユニオン(信用組合)があると述べましたが、昔からクレジットユニオンが根強い人気を保っている理由の一つが預金保険です。
銀行の預金保険は連邦政府のカナダ預金保険機構(CDIC)によって提供され、各銀行において一人上限10万ドルとなっています。
しかしクレジットユニオンは州の管轄下にあり、各州によって設立された州預金保険機構によって預金の全額100%が保証されています。ですので多くの資産を持つ人はクレジットユニオンに預金の比率を多くする傾向があります。
カナダの一般的な口座にはチェッキングアカウント(小切手口座)とセービングアカウントがあります。
チェッキングアカウントとはその名の通り、チェック(小切手)を振り出すことができる口座の事です。カナダでは未だに小切手が頻繁に使用されます。給料の支払いも小切手で行うところも多いですし、家賃の支払いなども小切手で行われます。通常、毎日のお買い物や公共料金の支払いなどはチェッキングアカウントから行います。
チェッキングアカウントは月々の口座維持費がかかりますが各銀行のプランによっては、毎月一定の残高を保っておけば維持費が免除される特典もあります。また、チェッキングアカウントには基本的には利息が付きませんが、中には利息を払っている銀行もごくたまにあります。
セービングアカウントはおもにお金を貯めるための口座です。毎月利息が払われ、大体どこの銀行でも月1回目の引き出しは無料で、2回目以降は1ドルから2ドルの手数料がかかります。利息は定期預金に比べるとかなり低めです。しかし手数料がかかるとはいえ、定期預金と違っていつでもお金の出し入れができる利点があります。ちなみに口座維持費はかかりません。
口座開設の方法としては、店頭での開設とインターネットでの開設の2種類があります。インターネットでの口座開設は必要書類をメールで送ったり、すべての手続きが完了するのに数日かかることがあるので、店頭で開設するのが早くて確実です。
口座の開設にはほとんどの銀行でアポイントメントが必要で、いきなり行って即、口座開設ということはありません。まずは店頭で口座開設の予約を入れるようにします。
なお、予約を入れる際に身分証明書(パスポート、カナダ政府発行の運転免許証やIDカードなど)、SINナンバー(社会保障ナンバー) 、住所を証明するもの(公共料金の請求書や賃貸契約書)などの口座の開設に必要な書類をあらかじめ確認しておきたいです。
以下に銀行で役に立つフレーズ、単語集を記します。
(1) 口座を開設したいのですが 「I'd like to open a bank account.」 (アイドゥ ライク トゥー オープン ア バンクアカウント)
(2) 口座開設の予約をしたいのですが 「Can I book an appointment to open an account?」(キャン アイ ブック アン アポイントメント トゥー オープン アン アカウント)
(3) (必要書類は)何を持って来ればよいですか? 「What do I need to bring?」(ホワット ドゥ アイ ニード トゥー ブリング)
(4) 小切手を口座に入れたいのですが 「I'd like to deposit a cheque into my account」(アイドゥ ライク トゥー デポジット ア チェック イントゥー マイ アカウント)
(5) 1万ドルで年利2%の3年定期を組みたいのですが 「Can I please have a 3-year GIC at 2% interest for $10,000?」(キャン アイ プリーズ ハブ ア スリーイヤー ジーアイシー アット トゥーパーセント インタレスト フォー テンサウザンドダラーズ)
(6) 満期になったら利息分をチェッキングアカウントに払い戻してください。 「Can I please have the interest paid into my chequing account at maturity?」(キャン アイ プリーズ ハブ ザ インタレスト ペイド イントゥー マイ チェッキングアカウント アット マチュリティー)
(7) 満期前に定期を解約した時のペナルティーはいくらですか 「What is the penalty if I break the term before maturity?」(ホワット イズ ザ ペナルティー イフ アイブレイク ザ ターム ビフォー マチュリティー)
(8) 1万ドルを年利2%の複利で投資したいのですが 「I'd like to invest $10,000 at 2% compounded annually」(アイドゥ ライク トゥー インベスト テンサウザンドダラーズ アット トゥーパーセント コンパウンデッド アニュアリー」
(単語集) 定期預金/GIC(ジー・アイ・シー) 口座/account(アカウント) 小切手/cheque(チェック) 銀行為替手形/bank draft(バンクドラフト) 金利/interest 複利/compound interest(コンパウンドインタレスト) 投資する/invest 満期/maturity(マチュリティー)為替レート/exchange rate(エクスチェンジレート) 入金する/deposit(デポジット) 出金する/withdraw(ウィスドロー)
カナダのとくに大都市には留学生や移民が多く、たくさんの両替所があります。
もちろん銀行でも両替はできますが、レートは大手の両替所の方が良いので、あらかじめ自分が行く街の両替所のウェブサイトを確認しておきたいです。
また、クレジットユニオンは信用組合なので、組合費を払っていない一般の人は両替などのサービスを受けられないことに注意しましょう。
両替手数料はレートの中に組み込まれているので、別途手数料を取られることはほとんどありません。自分が口座を持っている銀行での両替なら、そのままお金を銀行口座に入れられるし、現金でも受け取れます。両替所では基本的に現金での受け取りになりますが、金額が大きいと小切手での受け取りになることもあります。
カナダにも日本と同様にインターネット銀行はあります。しかし、日本のようにまだまだメジャーなものではありません。
カナダのインターネット銀行が取り扱う商品はチェッキングアカウント、セービングアカウント、定期預金などほかの銀行と変わりません。
では、なぜ日本のようにインターネット銀行はメジャーではないのでしょうか?確かにインターネット銀行はほかの銀行に比べて金利は高いですし、24時間いつでもアクセスできます。しかしながらカナダには「Big Five」と呼ばれる世界の銀行ランキングでも上位に入る5つの銀行と昔ながらのクレジットユニオンに対する信頼が強いようです。
その理由に、まずカナダの高齢化があげられます。日本と同様にカナダの高齢化も社会問題となってきています。年配の方々は自分たちが今まで使ってきた銀行との信頼関係も出来上がっている人が多く、またコンピューターは苦手とか信用できないという人も多くいます。
更に、インターネット銀行の魅力が金利以外感じられないという点もあります。インターネット銀行で受けられるサービスはほかの銀行のオンラインバンキングでも受けられます。支店を持たないインターネット銀行の口座に小切手を入金する場合、ATMでの入金だけでなく最近はスマートフォンのカメラを使って小切手の写真を撮れば口座に入金できるようになっています。これはほかの銀行のオンラインバンキングでも同じです。小切手の写真を撮るだけで入金できます。
そしてカナダの銀行は夜の8時まで営業しているところもあり、土日も営業しています。ですので平日の夕方まで仕事をしている人でも、平日の夜や土日に銀行で用事を済ませることができるのです。その他にも、インターネット銀行では普通の銀行よりも受けられるサービスの幅が狭いことやインターネット銀行自体知らないなどの理由も挙げられています。
一方で、インターネット銀行も新しい顧客を増やそうと、ここ数年いろいろなプロモーションを打ち出しています。最近話題になっているのが、口座維持費無料のチェッキングアカウントやキャッシュバック付きのクレジットカード、新しいセービングアカウントにボーナス金利を提供するなどです。これらの新しい商品で若い年齢層を中心に顧客を増やそうと街のショッピングモールやお祭りなどのイベントの時にインターネット銀行のブースをよく見かけるようになりました。
近年、どの銀行もオンラインバンキングが発展し、ほとんどすべての取引がパソコンまたはスマートフォンのモバイルアプリで完了できるようになりました。またシステムのオートメーション化に伴い、中にはバンカーがいない無人の支店を持つ銀行もあります。こうした時代の流れから、そう遠くない未来にカナダでも日本のようにオンラインバンキングに特化したインターネット銀行がにメジャーになっている時代が来る可能性は大いにありえます。