ドイツで日本の定期預金に近い商品はFestgeld(フェストゲルト)です。
Festgeldは、一定期間資金を固定して預け、契約時に決めた金利を受け取る預金です。
2026年現在も、Festgeldはドイツ家計にとって「安全性を重視する資金の置き場所」のひとつです。ただし、「ドイツ人は定期預金ばかりを好み、株式投資を避ける」と単純化するのは正確ではありません。
近年のドイツ家計は、預金を保有しながら、株式・投資信託・債券にも資金を振り向けています。
ドイツ連邦銀行(Deutsche Bundesbank)によると、2026年第1四半期末のドイツ家計の金融資産は約9兆4,900億ユーロでした。
市場価格の下落で前四半期より減少したものの、家計は同四半期に純額940億ユーロの金融資産を積み増しています。
つまり、ドイツでは現在も「貯める」こと自体が家計行動の大きな特徴です。
2026年第1四半期、ドイツ家計は現金・要求払預金を60億ユーロ、定期性預金を60億ユーロ増やしました。
ドイツ連邦銀行は、経済的不確実性が高まる中、安全性・流動性の高い資産への選好が強まった可能性を指摘しています。
Festgeldは、すべての資金を置く場所ではなく、「一定期間使わない安全資金」を運用する選択肢として位置づけるのが自然です。
| Tagesgeld | Festgeld | |
|---|---|---|
| 日本語のイメージ | 高金利の普通預金・貯蓄預金 | 定期預金 |
| 金利 | 変動 | 期間中固定が一般的 |
| 資金の自由度 | 比較的高い | 満期まで低い |
| 向いている資金 | 緊急予備資金・近く使うお金 | 一定期間使わない余裕資金 |
安全性だけで考えれば両方とも預金ですが、資金の流動性は大きく異なります。
そのため、日常的に使う可能性があるお金はTagesgeld、満期まで使わないお金はFestgeldという使い分けが合理的です。
国民全体の価値観として断定することはできませんが、ドイツ連邦銀行の統計を見ると、流動性の高い資産への強い需要が確認できます。
2025年第4四半期には、ドイツ家計が現金・要求払預金を630億ユーロ増やしました。
「安全性と流動性を確保したうえで余裕資金を運用する」という行動は、現在の家計統計とも整合します。
2026年第1四半期には、ドイツ家計は、
・投資信託:270億ユーロ
・株式など:90億ユーロ
・債券:70億ユーロ
を純額で買い増しています。
現在のドイツ家計は「預金か投資か」の二者択一ではなく、安全資産を持ちながら市場性資産にも投資する姿へ変化しています。
ドイツ人の金融行動を把握する際は、古いアンケートの比率ではなく、ドイツ連邦銀行や連邦統計局などが公表する最新の家計統計を確認することが重要です。
ドイツ連邦統計局によると、2025年上半期の家計貯蓄率は10.3%でした。
これは可処分所得100ユーロ当たり平均10.30ユーロを貯蓄した計算です。
2024年通年の貯蓄率は11.2%でした。
2025年上半期の10.3%は2000年以降の長期平均におおむね近い水準で、ドイツでは貯蓄が家計行動の重要な部分であることが分かります。
しかし、国民全体を一つの性格で説明することはできません。
ドイツ家計の特徴は、性格論ではなく、
・家計貯蓄率が比較的高い
・預金残高が大きい
・流動性の高い資産への需要がある
・同時に株式・投資信託も増えている
という客観的な金融行動から説明します。
Festgeldが向いているのは、たとえば、
・数か月〜数年使う予定がない資金
・元本の値動きを避けたい資金
・満期まで金利を固定したい資金
・生活防衛資金とは分けた余裕資金
です。
途中解約が難しい商品が多いため、緊急予備資金までFestgeldへ入れるのは適切ではありません。
安全な預金でも、預金金利より物価上昇率が高ければ、購買力ベースでは資産価値が目減りします。
ドイツ連邦銀行は、2026年第1四半期の家計について、預金の実質リターンがなおマイナスだったと報告しています。
「元本が減らないこと」と「実質的な購買力が減らないこと」は別です。
この点が、株式・投資信託などを組み合わせる理由のひとつになります。
現在のドイツ家計の行動から見ると、資産運用は次のように分けて考えると理解しやすくなります。
| 資金の目的 | 代表的な商品 |
|---|---|
| 日常生活・緊急資金 | Girokonto、Tagesgeld |
| 一定期間使わない安全資金 | Festgeld |
| 長期的な成長を狙う資金 | 株式、ETF、投資信託等 |
| 老後資金 | 年金・保険・証券等を組み合わせる |
FestgeldやTagesgeldなどの対象預金には、ドイツの法定預金保護制度があります。
原則として預金者1人につき1銀行あたり10万ユーロまで、元本と利息を合算して保護されます。
特に保護すべき一定の預金については、入金後6か月間、最大50万ユーロまで保護される場合があります。
対象例として、個人住宅の売却代金や一定の社会給付等があります。
法定預金保証の補償事由が発生した場合、補償請求は原則として7営業日以内に履行される仕組みです。
また、一部の民間銀行には法定保護を超える任意預金保護制度があります。
ただし、任意制度の加入状況や保護上限は銀行ごとに確認が必要です。
ドイツ居住者の預金利息は、原則として資本所得です。
2026年のドイツ所得税法では、一般的な資本所得に対する税率は原則25%です。
これに連帯付加税が加わり、宗教税の対象者には教会税が加わる場合があります。
一方、Sparer-Pauschbetrag(貯蓄者一括控除)は、
・1人:年間1,000ユーロ
・夫婦共同申告:年間2,000ユーロ
です。
一般に、預金利息・配当・株式売却益などの資本所得には、同じ25%の基本税率が適用されます。
Sparbuchは現在も存在しますが、金利面・利便性からTagesgeld、Festgeld、オンライン銀行の預金など選択肢が広がっています。
また、ドイツ連邦銀行の2026年第1四半期統計では、貯蓄預金・貯蓄債券は合計で10億ユーロ減少する一方、定期性預金は60億ユーロ増加しました。
「ドイツ人ならSparbuch」という固定的なイメージより、金利と流動性を比較して預金商品を使い分ける姿の方が現在に近いと言えます。
老後・住宅・旅行など、資金を使う時期や目的に応じて預け先を分けることが重要です。
たとえば旅行資金のように1年後に使うお金ならTagesgeldや短期Festgeld、老後資金のように長期間使わないお金なら預金だけでなく市場性資産も検討する、といった役割分担が考えられます。
ドイツの家計行動から参考になるのは、「ドイツ人は堅実だから定期預金を好む」という国民性ではなく、資金の目的に合わせて安全性・流動性・収益性を分けて考えることです。
・すぐ使うお金は流動性を優先する
・一定期間使わないお金はFestgeldで金利を固定する
・長期資金はインフレに負けない運用も検討する
・高額預金は預金保護上限を意識する
「安全だから全部預金」「高いリターンが期待できるから全部投資」ではなく、資金の役割を分けることが重要です。
Festgeldは現在も重要な安全資産のひとつです。2026年第1四半期にはドイツ家計の定期性預金が60億ユーロ増えています。ただし、同時に株式・投資信託等への投資も増えています。
一概には言えません。2026年第1四半期には、家計が株式等を90億ユーロ、投資信託を270億ユーロ純額で買い増しています。預金と市場性資産を併用する動きが見られます。
役割が異なるため単純比較はできません。Tagesgeldは流動性、Festgeldは固定金利を重視する資金に向いています。
法定預金保護では、原則として預金者1人につき1銀行あたり10万ユーロまで、元本と利息を合算して保護されます。
一般的な資本所得の基本税率は25%です。連帯付加税や、対象者には教会税が加わる場合があります。Sparer-Pauschbetragは1人年間1,000ユーロ、夫婦共同申告で2,000ユーロです。
※本ページは2026年8月時点のDeutsche Bundesbank、Statistisches Bundesamt、ドイツ所得税法等の公表情報をもとに、ドイツ家計全体の傾向を説明しています。「ドイツ人」という表現は統計上の家計・居住者全体の傾向を分かりやすく示すもので、個々人の価値観・投資行動が同じであることを意味しません。Festgeldの金利、途中解約、預金保護、税務は金融機関・商品・居住状況によって異なります。
