ネット銀行は、店舗へ行かずに口座開設、残高照会、振込、定期預金などを利用できる便利な銀行です。
一方、「店舗がない銀行へ大切なお金を預けても安全なのか」「不正送金で預金を失わないか」と不安を感じる人もいます。
ネット銀行の安全性は、銀行が破綻した場合の「預金保護」と、犯罪者による不正利用を防ぐ「情報セキュリティ」の二つに分けて考える必要があります。
日本国内に本店を置く対象のネット銀行は、店舗型銀行と同じ銀行法・監督制度・預金保険制度の下で営業しています。ただし、インターネットを主要な取引手段とするため、フィッシング、不正送金、端末紛失などへの対策は欠かせません。
| 安全性の視点 | 主な内容 |
|---|---|
| 銀行そのものの安全性 | 銀行免許、財務健全性、預金保険制度、破綻時の預金保護 |
| 取引の安全性 | 本人認証、不正送金対策、端末管理、利用者の行動、被害時の補償 |
ネット銀行だから直ちに危険、店舗型銀行だから必ず安全という関係ではありません。
店舗型銀行のインターネットバンキングでも、フィッシングや不正送金の危険はあります。
「銀行」の名称で預金を受け入れるためには、銀行法に基づく免許が必要です。
ネット銀行も、金融庁の監督を受け、自己資本、リスク管理、顧客保護、システム管理、マネー・ローンダリング対策などを求められます。
一般的なネット銀行は、単なるウェブサービスや決済アプリではなく、法律に基づいて営業する銀行です。
スマートフォンで残高を管理できるサービスでも、すべてが銀行預金とは限りません。
電子マネー、資金移動業者、暗号資産交換業者、証券会社の預り金などは、銀行預金とは保護制度が異なります。
口座を開設する前に、運営会社の正式名称、銀行免許、預金保険制度の対象かどうかをご確認ください。
日本国内に本店を置く対象のネット銀行であれば、円普通預金、円定期預金などは預金保険制度の対象です。
金融機関が破綻した場合、同じ金融機関にある対象預金を合算し、預金者1人当たり元本1,000万円までと、破綻日までの利息等が保護されます。
店舗があるかどうかによって、保護範囲が変わるわけではありません。
普通預金と定期預金にそれぞれ1,000万円の保護枠があるわけではありません。
同じネット銀行にある普通預金、定期預金などの対象預金を合算して判定します。
同じ銀行の複数支店・インターネット支店へ分けても、同一金融機関の預金として名寄せされます。
次の三つの条件をすべて満たす預金は、決済用預金として全額保護されます。
ネット銀行が無利息型普通預金を提供している場合でも、商品ごとの条件を確認してください。
銀行アプリ内に表示されていても、すべてが元本保証の預金とは限りません。
預金保険制度があっても、1金融機関へ多額の資金を集中させる場合は、銀行の財務情報を確認する意味があります。
銀行の公式サイトに掲載されるディスクロージャー誌、自己資本比率、業績、格付けなどが参考になります。
ただし、自己資本比率が高ければ絶対に破綻しない、格付けが高ければ将来も安全という保証ではありません。
1,000万円を超える円預金を保有する場合は、異なる金融機関へ分散すると、預金保険制度の保護枠を分けられます。
銀行を分ける際は、親会社やブランド名だけでなく、銀行免許を持つ法人が別かどうかを確認してください。
| 銀行側の対策 | 主な役割 |
|---|---|
| 多要素認証 | パスワード以外の要素を組み合わせて本人確認 |
| 端末認証 | 登録済み端末からの利用を確認 |
| 生体認証 | 指紋・顔などでアプリ利用者を確認 |
| パスキー・FIDO認証 | 偽サイトへ認証情報を渡しにくくする |
| 不正取引検知 | 通常と異なるログイン・送金を監視 |
| 取引通知 | ログイン・振込・設定変更を利用者へ通知 |
| 振込限度額 | 1日当たりの送金額を制限 |
金融庁は、銀行を含む金融機関に対し、パスキーなどフィッシング耐性のある多要素認証の導入を重視しています。
多要素認証とは、パスワードなどの知識情報、登録端末などの所持情報、指紋・顔などの生体情報から、異なる要素を組み合わせる認証です。
利用するネット銀行がパスキー、FIDO認証、端末認証などを提供している場合は、できるだけ早く設定してください。
ワンタイムパスワードは一定時間だけ有効な認証コードで、固定パスワードだけの場合より安全性を高めます。
しかし、偽サイトへ入力すると、犯罪者がリアルタイムで本物の銀行サイトへ転送し、不正送金へ利用する場合があります。
ワンタイムパスワード、SMS認証コード、アプリの承認番号を電話やメッセージで他人へ伝えてはいけません。
警察庁によると、2025年のインターネットバンキングに係る不正送金事犯は4,747件、被害総額は約103億9,700万円でした。
手口の約9割は、銀行を装ったメールやSMSから偽サイトへ誘導するフィッシングでした。
ネット銀行の安全性を高めるうえで、フィッシングへだまされないことは最重要です。
銀行から届いたように見えるメールやSMSでも、本文に記載されたURLからログインしないでください。
次のような文面で緊急性をあおる場合があります。
公式アプリまたは正しいURLを確認して登録したブックマークからアクセスしてください。
偽サイトでも暗号化通信を利用できるため、ブラウザの鍵マークがあっても本物とは限りません。
銀行ロゴ、画面デザイン、URLの一部を本物に似せるため、見た目だけで判断するのは困難です。
銀行員、警察官、金融庁職員などを装い、暗証番号や認証コードを聞き出す電話があります。
発信者番号が正規の番号に見えても、番号表示を偽装している可能性があります。
いったん電話を切り、銀行公式アプリやキャッシュカードに記載された正規の電話番号へかけ直してください。
偽の銀行員、警察官、サポート担当者などが、スマートフォンやパソコンへ遠隔操作アプリを入れるよう求める手口があります。
遠隔操作中に銀行アプリを開くと、残高、認証番号、振込画面などを犯罪者に見られる可能性があります。
銀行や公的機関が、電話で遠隔操作アプリのインストールを求めることはありません。
メール添付ファイル、不正アプリ、偽の更新通知、改ざんされたウェブサイトなどから、情報を盗むマルウェアに感染する場合があります。
OS、ブラウザ、銀行アプリ、セキュリティソフトを最新版に保ち、提供元不明のアプリやファイルを開かないでください。
セキュリティソフトは有効な補助策ですが、利用者自身が偽サイトへ認証情報を入力する行為を完全に防ぐことはできません。
他のサービスから漏れたID・パスワードを使い、銀行口座へ不正ログインするパスワードリスト攻撃があります。
銀行用パスワードは、メール、通販、SNS、証券口座などと分けてください。
理由なく短期間ごとに変更することより、使い回さず、長く推測されにくいパスワードを設定することが重要です。
1日当たりの振込限度額を普段必要な金額まで下げると、不正ログインされた場合の被害を抑えやすくなります。
高額振込が必要な場合だけ一時的に変更し、取引後に戻す方法があります。
身に覚えのない通知が届いた場合は、通知内のリンクを使わず、公式アプリから確認して銀行へ連絡してください。
駅、ホテル、飲食店などの公共Wi-Fiは、接続先の安全性を確認しにくい場合があります。
振込、限度額変更、パスワード変更などの重要な取引は、携帯電話回線や信頼できる自宅回線で行ってください。
ネット銀行では、システム障害やメンテナンス中に、アプリ、振込、ATMなどを一時的に利用できない場合があります。
生活費や緊急資金を一つのネット銀行だけへ集中させず、別の銀行口座や複数の支払手段を用意すると安心です。
スマートフォンの故障、紛失、通信障害、機種変更時の認証移行によって、口座へ一時的にログインできなくなる場合があります。
銀行の緊急連絡先、ログイン復旧方法、登録電話番号・メールアドレスを最新にしておきましょう。
個人向けインターネットバンキングの不正な払戻しは、全国銀行協会の申合せや各銀行の規定に基づき、補償される場合があります。
利用者に過失がなければ原則補償という考え方がありますが、過失・重過失、銀行への届出時期、認証情報の管理、警察への届出、調査への協力などを踏まえて個別に判断されます。
不正送金被害が必ず全額補償されるわけではありません。
具体的な補償条件と届出期限は、利用するネット銀行の規定をご確認ください。
身に覚えのない送金を見つけたら、最初にネット銀行の正規の緊急窓口へ連絡してください。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 銀行免許 | 正式な銀行名・運営法人を確認 |
| 預金保険 | 対象金融機関・対象商品か |
| 認証方式 | パスキー、端末認証、多要素認証の有無 |
| 通知機能 | ログイン・振込・設定変更通知 |
| 限度額 | 自分で低く設定できるか |
| 緊急窓口 | 夜間・休日の連絡方法 |
| 補償規定 | 対象、届出期限、過失判断 |
| 財務情報 | 自己資本比率、業績、ディスクロージャー |
一律に危険とはいえません。対象のネット銀行は店舗型銀行と同じ預金保険制度の対象です。ただし、オンライン取引の安全対策が重要です。
同じ銀行の対象預金を合算し、預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
同じ銀行の口座は合算されます。保護枠を分けるには、異なる金融機関へ分散する必要があります。
安全性は高まりますが、偽サイトへ入力すると悪用される場合があります。パスキーや端末認証なども利用してください。
鍵マークだけでは本物と判断できません。偽サイトでも暗号化通信を利用できます。
通常の利息付き預金は、同じ銀行で元本1,000万円までと利息等が保護されます。条件を満たす決済用預金は全額保護です。
必ず全額戻るとは限りません。銀行の規定と過失・届出状況などに基づいて個別に判断されます。
預金保険、認証方式、通知機能、限度額設定、緊急窓口、補償規定、財務情報を確認してください。
ネット銀行は、店舗がないことだけを理由に危険な銀行ではありません。日本国内に本店を置く対象銀行の円普通預金・円定期預金は、店舗型銀行と同じ預金保険制度で保護されます。
安全に利用するには、預金保険制度による保護範囲を理解するとともに、公式アプリ、パスキーなどの多要素認証、取引通知、振込限度額、端末更新を組み合わせることが重要です。
1,000万円を超える資金は異なる金融機関へ分散し、不正取引に気付いた場合は直ちに銀行と警察へ連絡してください。
