法人の定期預金は、ほとんどの都市銀行や地方銀行などの一般的な金融機関で可能です。法人向けの普通預金口座を開設することで、法人向けの定期預金口座が開設できます。
しかし、インターネット銀行ではそうはいかない場合があります。例えばセブン銀行では法人向けの普通預金口座は取り扱っていても、法人向けの定期預金口座の取り扱いはありません。
また法人向けの定期預金口座の取り扱いがないばかりではなく、法人口座そのものを開設できないインターネット銀行も珍しくありません。
法人が定期預金に預け入れをするには、金融機関に法人向けの普通預金口座を持っていることが前提です。
現在、詐欺やマネーロンダリングなどの犯罪事件に法人口座が利用されることが増えたので、金融機関で新規の法人口座を開設することは大変難しくなっています。
多くの金融機関では法人が普通預金口座を開設する際に審査を行いますが、口座開設の審査においては法人であることを証明するための多くの書類が必要です。
法人口座の開設を申し込む際に必要な書類や持ち物としては、履歴事項全部証明書、法人代表者の印鑑証明書、会社の実印、金融機関の届出印、金融機関の窓口に来た人の本人確認書類などがあげられます。
さらに金融機関の窓口で手続きをする人が法人の代表権を持っていないのなら、委任状などが本人確認書類として必要です。
これによって、窓口に来た人が確かに法人から口座開設の申込を委任されていることを確認します。
また同時に議決権保有比率が25%を超える個人の氏名、住所、生年月日、そして法人との関係についても窓口で書類に記載申告する形で確認します。
その他にも状況によって、事業計画書など事業内容が確認できる書類の提出を求められることもあります。
法人口座の開設の際に必要な書類や持ち物は金融機関によって異なります。必要となる書類が多いので、事前に金融機関へ問い合わせをして、どのような書類や持ち物が必要なのかを確認したいです。
こうして審査を経て法人向けの普通預金口座を開設すれば、定期預金口座の開設も可能になります。
ただし、新しく定期預金口座を開設したり、200万円を超える現金の入出金を伴う取引を行ったりするときには、法人の本人確認だけではなく、窓口に来店する人の本人確認も必要です。
登記事項証明書などで法人の本人確認を行い、金融機関の支店窓口に手続きに来た人の運転免許証などの本人確認書類で来店者の本人確認をします。
そして法人からの委任状や法人に対する電話確認などの方法によって、支店の窓口に来店した人と法人の関係についての確認を行います。
その際にも、議決権保有比率が25%を超える個人の氏名、住所、生年月日、そして法人との関係について、書類への記載申告による確認が必要になります。
なお、普通預金からの振替によって定期預金に預け入れをする場合には、法人と来店者共に本人確認は不要です。
ほとんどの都市銀行や地方銀行などの一般的な金融機関では、法人が定期預金に預け入れすることが可能です。
しかし、インターネット銀行では法人が定期預金に預け入れができない場合もあります。
例えばセブン銀行では法人向けの普通預金口座は取り扱っていますが、定期預金口座の取り扱いはありません。
また、法人向けの定期預金口座の取り扱いがないばかりではなく、法人口座そのものを開設できないインターネット銀行もあります。
具体的には、SBI新生銀行やソニー銀行やauじぶん銀行などでは法人口座開設に対応していません。
また、法人の定期預金には個人の定期預金と異なる特徴がいくつかあります。
たとえば金融機関によって異なりますが、基本的には法人口座を開設すると口座の利用手数料が毎月必要です。
ただし、インターネット銀行では利用手数料が不要な場合もあります。
また、個人の場合は口座を開設すれば総合口座通帳を発行するのが普通です。
しかし、法人の場合は総合口座を作れません。普通預金、定期預金、当座預金は各々別の通帳が発行されます。
そして法人が定期預金に預け入れをする際には、複利型商品を利用できないことも多いです。
さらに、定期預金などの受取利息にかかる税金にも違いが見られます。
個人の定期預金などの場合、受取利息にかかる税金は国税としての所得税の15%と復興特別所得税の0.315%、特別徴収税である地方税の5%の合計20.315%です。
一方、法人の定期預金などでは、所得税の15%、復興特別所得税の0.315%の合計15.315%が税金として受取利息から差し引かれます。
2016年1月より法人に関しては利子割廃止となっているので、法人の定期預金などの受取利息から差し引かれていた地方税の5%は現在では徴収されていません。
ところで、法人が定期預金に預け入れをする理由は何でしょうか?
通常、法人は事業の運転資金や事業に関わる経費などは、すぐ使えるように普通預金や当座預金に預け入れておくものです。
一般の個人とは異なり、資産運用や将来の備えのための金融商品への預け入れは法人にはなじみません。資産を増やしたり将来のために備えたりするより、事業を軌道に乗せて安定させるためにいつでも使える運転資金を準備しておく方がより重要だからです。
法人が定期預金に預け入れをするのは、それが法人に利益をもたらしてくれるからです。
法人でも、特に中小企業にとって定期預金に預け入れをする利益とは何でしょうか?
それは、自社に対する金融機関からの信用が高まるという点にあります。
法人が金融機関に口座を開設する目的の一つは、その金融機関から事業の支援を受けることです。
そのような場合、法人が普通預金口座にどれだけ多くの資金を預け入れしていても、それだけで金融機関が法人に対して信用度を高めることはないでしょう。
なぜなら、流動性の高い普通預金口座に置かれている資金は、いつでも外部に流出してしまう可能性があるからです。
しかし、定期預金は原則として満期日が来るまでは解約できない固定性の預金です。
やむを得ず中途解約する場合には、必ず窓口での手続きが必要になります。
このように、簡単にはおろすことができない資金を定期預金として預け入れしている事実が、法人に対する金融機関の信用を高めます。
それに加えて光熱費や家賃などの経費を普通預金口座で自動引き落としに設定していれば、金融機関側では法人の支払い状況を確認できます。
毎月の支払いが滞りなく行われていれば、法人側は定期預金への預け入れと併せて、自社の経営が健全であることを金融機関にアピールできます。
そして定期預金への預け入れによって自社に対する金融機関の信用を高めることが優先目的なので、法人の定期預金では適用金利にこだわる必要性は低いです。
また、金融機関側でも法人に対して定期預金への預け入れを案内することが多くなっています。
固定性預金である定期預金の残高が増えるということは、金融機関が長期間にわたって活用できる運用資金が増えるということです。
法人が預け入れる定期預金は、個人が預け入れる定期預金よりもまとまった金額であることが多いので、金融機関が法人を対象に定期預金への預け入れを強化しようと考えるのは自然です。
近年では起業する人も増えて、法人口座の開設も身近なものになってきています。
中小企業や零細企業が金融機関から資金を受けるには、取引実績を重ねて、金融機関に信用されることです。
法人の定期預金への預け入れは、正にその条件を満たすものであり、金融機関側に大きな利益をもたらします。
金融機関との実りある関係性を築き上げる方法として、法人の定期預金への預け入れは意味があります。