定期預金でも、不正な解約・払戻し・送金の被害が起こる可能性があります。
2026年現在は、窓口でのなりすましだけでなく、インターネットバンキングの認証情報を盗まれ、定期預金を解約されたうえで普通預金から不正送金されるリスクにも注意が必要です。
「定期預金だから安全」と考えるのではなく、定期預金を含めた銀行口座全体を守ることが重要です。
| 主なパターン | 概要 |
|---|---|
| 窓口での不正解約 | 本人ではない者が本人を装い、解約や払戻しを試みる |
| インターネットバンキング | 盗まれたID・パスワード等でログインし、定期預金を解約して送金する |
| 盗難カード・通帳 | 盗まれたカード・通帳等を使って不正払戻しを行う |
| 特殊詐欺 | 本人をだまして定期預金を解約させ、犯罪者側へ送金させる |
| 家族等による無断利用 | 本人の了承なく家族・同居人等が預金を動かす |
金融機関・商品によっては、アプリやインターネットバンキングから中途解約・満期解約できる定期預金があります。
そのため、定期預金の安全性を「窓口で顔を見られるから」という理由だけで説明することはできません。
金融庁が2026年6月30日に公表した集計では、令和7年度のインターネットバンキングによる不正払戻しは3,946件、平均被害額は約360万円でした。
被害の多くは、メール・SMS・メッセージアプリなどから偽サイトへ誘導し、ID・パスワード等を盗むフィッシングによるものとされています。
定期預金が直接盗まれるというより、定期預金を解約して普通預金へ移し、その資金を外部へ送金される形で被害が発生する可能性があります。
フィッシングでは、銀行などを装った偽メール・SMSから偽ログイン画面へ誘導し、
・ログインID
・パスワード
・口座番号
・暗証番号
・ワンタイムパスワード
などを盗み取ります。
銀行からの連絡に見えても、メール・SMS内のリンクからログインせず、公式アプリや自分で登録したブックマークから銀行サイトへアクセスしてください。
ワンタイムパスワードは一度限りの認証情報ですが、リアルタイムで犯罪者に知られれば悪用される可能性があります。
銀行員、警察官、市役所職員などを名乗る相手でも、認証番号やパスワードを伝えないでください。
電話で指示されながら銀行アプリを操作することも避けます。
従来の健康保険証は2024年12月2日から新規発行されなくなり、2025年12月1日で原則すべて有効期限を迎えています。
2026年現在、医療保険ではマイナ保険証または資格確認書を利用する仕組みに移行しています。
したがって、「健康保険証を使ったなりすまし」を現在の定期預金不正引き出しの中心的な本人確認リスクとして扱うのは適切ではありません。
高額な定期預金の解約では、本人確認書類だけでなく、銀行によって追加確認が行われる場合があります。
例として、
・登録住所・電話番号などの確認
・取引目的や資金使途の確認
・本人への電話確認
・追加の本人確認書類
・不自然な取引に対する追加質問
などです。
高額取引で確認に時間がかかることがあっても、不正払戻しや特殊詐欺を防ぐための措置である場合があります。
紙通帳・定期預金証書・届出印を利用している場合は、それらを本人確認書類や暗証番号のメモと同じ場所に保管しないことが重要です。
盗難時に複数の情報がまとめて流出すると、不正利用のリスクが高まります。
通帳レス口座では、スマートフォンのロック、銀行アプリの認証、メールアカウントの保護も重要です。
定期預金は日常的なATM引出しに使われないため、一定の防犯上の特徴はあります。
しかし現在は、ネット経由で解約できる商品や、本人をだまして解約・送金させる詐欺があります。
資産を守るうえでは、定期預金か普通預金かという商品区分より、認証設定・振込限度額・残高確認・連絡先管理などの防犯対策が重要です。
不正送金や特殊詐欺の被害額を抑える対策として、日常的に高額振込をしない人は振込限度額を必要以上に高く設定しない方法があります。
ただし、大口の資金移動を予定している場合は、正規の手続きで一時的に限度額を変更するなど、金融機関の仕組みを利用してください。
家族や同居人が、本人の了承なく通帳・カード・認証情報を使って預金を動かすトラブルがあります。
家族であっても、本人名義の預金を本人の了承なく自由に使ってよいわけではありません。
金融庁の補償統計では、偽造・盗難カード被害として申出があっても、調査の結果、配偶者や親族による払戻しと判明したケースが補償の対象から外れることがあります。
また、預貯金者保護法でも、一定の親族・同居人等による払戻しは補償の除外事由となる場合があります。
家族による無断利用は、一般の第三者犯罪と補償の扱いが同じとは限りません。
預貯金者保護法は、正式には「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律」といい、2006年2月10日に施行されました。
主に偽造・盗難キャッシュカードを使ったATMでの不正払戻しについて、預金者保護のルールを定めています。
この法律が、あらゆる定期預金の不正解約やインターネットバンキング被害を一律に補償する法律というわけではありません。
金融庁によると、盗難キャッシュカード被害では、
・被害発生から30日以内に金融機関へ通知する
・警察へ被害届を提出する
・金融機関の調査に協力する
などの要件を満たす場合、原則として補償対象になります。
ただし、預金者に過失がある場合は補償額が減額され、故意・重大な過失がある場合は補償されないことがあります。
インターネットバンキングの不正払戻しは、預貯金者保護法のキャッシュカード補償とは別に、全国銀行協会の申合せや各金融機関の補償規定に基づいて判断されます。
全国銀行協会では、個人顧客について、銀行に過失がなくても顧客に過失がない場合は原則補償とする考え方を示しています。
一方、顧客に過失・重過失がある場合は個別判断となります。
「ネット不正送金なら必ず全額補償される」とは限りません。
金融機関は、
・被害の発生状況
・本人の認証情報管理
・銀行からの注意喚起への対応
・被害発覚後の連絡時期
・第三者へ認証情報を渡していないか
・被害が親族等によるものではないか
などを確認して補償可否を判断する場合があります。
定期預金が勝手に解約されている、普通預金から身に覚えのない送金があるなどの異変に気付いたら、すぐに取引銀行へ連絡してください。
金融機関によっては、24時間利用できるカード・ネットバンキング停止窓口があります。
被害が広がる前に、カード・ネットバンキング・振込機能などを停止できるか確認してください。
不正引き出し・不正送金・詐欺などの被害が疑われる場合は、銀行への連絡とあわせて警察へ相談します。
メール、SMS、通話履歴、振込先、銀行の取引明細などの証拠は削除せず保存しておきましょう。
金融機関の補償手続きで警察への届出が必要になる場合もあります。
定期預金は長期間動かさないため、普通預金より確認頻度が低くなりがちです。
しかし、アプリ・インターネットバンキングを利用している場合は、定期預金の残高・満期日・取引履歴も定期的に確認してください。
ログイン通知、振込通知、取引通知などを利用すると、異変に早く気付きやすくなります。
紙通帳や定期預金証書を使っている場合は、長期間確認せず放置しないことが大切です。
通帳、印鑑、本人確認書類、暗証番号のメモを一か所へまとめて保管しないようにしましょう。
銀行アプリを入れたスマートフォンを紛失・盗難した場合は、携帯電話の回線・端末ロックだけでなく、銀行アプリ・インターネットバンキングの利用停止が必要になる場合があります。
端末の画面ロック、生体認証、銀行アプリ側の認証を有効にしておくと防犯性が高まります。
警察官・銀行員・公的機関を名乗る人物から「口座を調査する」「安全な口座へ移す」などと言われても、その電話の指示に従って定期預金を解約・送金しないでください。
一度電話を切り、銀行公式サイト・カード裏面などに記載された正規の連絡先へ、自分から電話して確認します。
定期預金は預金保険制度の対象ですが、預金保険制度は金融機関が破綻したときに預金者を保護する制度です。
一般預金等は1人・1金融機関につき元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
不正引き出し・不正送金の被害補償とは別の制度です。
詳しくは定期預金とペイオフをご覧ください。
1. 銀行は公式アプリ・ブックマークから開く
2. メール・SMSのリンクからログインしない
3. パスワードを使い回さない
4. ワンタイムパスワードを第三者へ伝えない
5. 生体認証・多要素認証を利用する
6. 振込限度額を必要以上に高くしない
7. 通帳・印鑑・本人確認書類をまとめて保管しない
8. 定期預金の残高・取引履歴を定期的に確認する
9. 不審電話の指示で定期預金を解約しない
10. 異変に気付いたら直ちに銀行・警察へ相談する
不正アクセス、なりすまし、盗難、詐欺などによって不正に解約される可能性はあります。現在はネットで解約できる商品もあるため、口座全体の認証管理が重要です。
従来の健康保険証は2025年12月1日で原則すべて有効期限を迎えています。2026年現在は、昔のように健康保険証を中心に本人確認リスクを考える状況ではありません。銀行では取引内容に応じて本人確認書類や追加確認を行います。
一律ではありません。全国銀行協会の申合せや各銀行の補償規定に基づき、本人の過失・重過失の有無などを含めて個別に判断されます。
家族・親族等による払戻しは、第三者による不正払戻しと同じ補償対象にならない場合があります。銀行・警察・必要に応じて法律専門家へ相談してください。
直ちに取引銀行へ連絡し、カード・ネットバンキング等の利用停止を相談してください。そのうえで警察にも相談し、取引履歴やメール・SMSなどの記録を保存します。
※本ページは2026年8月時点の金融庁・警察庁・全国銀行協会等の公表情報をもとに一般的な不正払戻し対策を解説しています。不正解約・不正送金の補償、本人確認、代理人取引、中途解約、利用停止手続きは金融機関・被害状況によって異なります。実際に被害が疑われる場合は、直ちに取引金融機関と警察へご相談ください。
