(1) 宝くじ付き定期預金の金利の比較をしましょう。
順位 | 金融機関名 | 金利 |
1位 | 大阪シティ信用金庫「夢ジャンボ」 | 年0.010% |
2位 | スルガ銀行「ジャンボ宝くじ付き定期預金」 | 年0.002% |
3位 | 瀬戸信用金庫「ゆめ紀行」 | 年0.002% |
4位 | 香川銀行セルフうどん支店「宝くじトッピング定期預金」 | 年0.002% |
(2022年6月20日現在)
<情報ソース>
1.大阪シティ信用金庫「夢ジャンボ」
https://www.osaka-city-shinkin.co.jp/kojin/yume_fuku/pdf/yume_jumbo.pdf
2.スルガ銀行「ジャンボ宝くじ付き定期預金」
https://www.surugabank.co.jp/dream/services/fixed_lottery.html
3.瀬戸信用金庫「ゆめ紀行」
https://www.setoshin.co.jp/setoshin/net/yume.html
4.香川銀行セルフうどん支店「宝くじトッピング定期預金」
https://www.kagawabank.co.jp/udon/syohin/takarakuji.html
宝くじ付き定期預金の土台の部分となる定期預金の金利は、2022年6月17日現在、全国ほぼどこの金融機関でも、1年ものの金利で年0.002%がほとんどです(店頭表示金利)。
超低金利の環境がつづくなか、これでは元金100万円を1年間預けたとしても、1年後に税引前で20円しか受け取れません。
(2) 一方で宝くじ付き定期預金を提供する金融機関は、ほとんどの場合、インターネット支店でのとり扱いとなっています。インターネット支店では実際の店舗が不要で人件費もおさえられますので、通常の店頭表示金利以上の金利を提供して、その金融機関の営業エリア外からの預金も勧誘しています。
宝くじ付き定期預金は有力な預金獲得手段ですが、宝くじの購入費用をカバーしなければならないので、この預金の金利自体を高くすることは非常に困難です。
結論からいいますと、有力な宝くじ付き定期預金の預金金利はほとんど年0.002%で横並びとなっています。以下では代表的な宝くじ付き定期預金について、その預金金利に着目してランキングをします。
第1位 大阪シティ信用金庫
大阪シティ信用金庫は大阪市に本店を置く信用金庫です。宝くじ付き定期預金には力を入れており、電話で預入を受けつける「夢ふくらむ支店」でとり扱っています。
大阪シティ信用金庫の宝くじ付き定期預金の金利は、通常の1年もの定期預金の店頭表示金利年0.010%(2022年6月20日現在)です。
大阪シティ信用金庫の宝くじ付き定期預金では、1口100万円で1年間に5枚のジャンボ宝くじがもらえます。1枚300円ですので10枚では1,500円となり、毎年、元金100万円の0.15%にあたる金額の宝くじを受け取ることができます。
第2位 スルガ銀行
スルガ銀行は宝くじ付き定期預金の先駆けともいえる銀行で、工夫をこらして売り込みをはかっています。
スルガ銀行ではドリームダイレクト支店というインターネット支店でのとり扱いとなり、宝くじ付き定期預金の適用金利は2022年6月20日現在で年0.002%となっています。金利は6ヵ月もの定期預金の店頭表示金利をその都度適用しています。
スルガ銀行の宝くじ付き定期預金では、1口100万円で1年間に10枚のジャンボ宝くじがもらえます。1枚300円ですので10枚では3千円となり、毎年、元金100万円の0.3%にあたる金額の宝くじを受け取ることができます。他の金融機関の宝くじ付き定期預金に比べてもらえる宝くじの枚数が多いので、第2位としました。
第3位 瀬戸信用金庫
瀬戸信用金庫は愛知県に本店を置く信用金庫です。インターネット支店で「ゆめ紀行」という名前の宝くじ付き定期預金を提供しています。
3年もの定期預金の店頭表示金利を適用する元金自動継続の定期預金で、2022年6月20日現在の3年もの定期預金の金利は年0.002%ですので、第2位のスルガ銀行と同じ水準です。
提供される宝くじは、サマーと年末の各ジャンボの年2回にしぼっていますが、300万円を1口として預けた場合には年間20枚(サマーと年末で各10枚)のくじ券(1枚300円)をもらえます。これは300万円に対して6千円の価値になりますので、6千円÷300万円で、年0.2%の割当率となります。この比較から瀬戸信用金庫を第3位としました。
第4位 香川銀行セルフうどん支店
香川銀行ではインターネット支店である、セルフうどん支店で宝くじ付き定期預金を「宝くじトッピング定期預金」という名称で提供しています。3年満期の定期預金で金利は6ヵ月ごとの見直しで、年0.002%となっています。
宝くじの提供枚数は元金200万円に対して年間10枚ですので、その割合は0.15%(=300円×10枚÷200万円)となります。この点で、上位のスルガ銀行、瀬戸信用金庫の商品に見劣りします。
宝くじ付き定期預金とは、通常の定期預金の満期日の到来にともなう利息の支払いに加えて、一定のルールにそって宝くじ券がもらえる定期預金のことです。
預金者は、まとまったおカネを定期預金として運用しながら宝くじの当せんも期待できるので、安全性と楽しみの両方がある預金商品です。
当然ですが、通常の定期預金と同じく金融機関ごとに1千万円までの元金とその利息が預金保険で保護されます。
宝くじ付き定期預金は懸賞金付き定期預金とはことなり、定期預金を預け入れる金融機関が当せん金を提供するわけではありません。
もらえるものは抽せん前の宝くじ券であり、厳密にいえばその宝くじ券の値段が利息にあたるものです。またソニー銀行などでは、夏冬の定期預金キャンペーンの景品として宝くじを提供する場合がありますが、これも商品としての宝くじ付き定期預金とはことなるものです。
宝くじ券には1枚100円からさまざまな金額の設定があり、回号ごとに当せん金の設定などの商品性が微妙にことなっています。
「宝くじ付き定期預金」で提供されるくじ券は、毎年一定の時期におおきな発売量が見こめる、1枚300円の3大ジャンボ(ドリームジャンボ、サマージャンボ、年末ジャンボの各全国くじ)が採用されています。
これらのジャンボでは1等賞金も高額化しており、年末ジャンボでは2015年からは、じつに1等前後賞こみの当せん金は10億円にまで引きあげられています。3大ジャンボは話題性のある宝くじです。
宝くじ付き定期預金の基本的なしくみは、金融機関によらずほぼ同じです。毎年一定の基準日をもうけて、その日に宝くじ付き定期預金として一定の残高があることを条件として、事前に決められた割り当てルールにしたがって決まった枚数の宝くじが提供されます。
宝くじ券の現物を送付するとコストがかかり、また受け取ってからも紛失などの可能性があるので、宝くじの運営を地方公共団体から受託しているみずほ銀行での保護預かり扱いとして、くじ券の番号だけを預金者に通知します。
この番号は金融機関でひかえていますので、抽せん日以降にその金融機関で開設している普通預金口座に当せん金が入金されます(このときの振込手数料は無料です)。
例外は静岡県沼津市に本店があるスルガ銀行です。スルガ銀行は、宝くじの聖地とも呼ばれる東京都中央区の「西銀座チャンスセンター」で各ジャンボの発売初日に宝くじを買い付け、地元の三嶋大社(静岡県三島市)で当せん祈願をおこなってから現物を預金者に送付するという、手のこんだ商品性にしています。
くじ券自体の客観的な当せん確率には影響はありませんが、夢を買うのだという宝くじファンにとっては、わざわざ東京まで出向いて行列に並ばなくても、西銀座チャンスセンターの宝くじ券が手に入ります。
宝くじ付き定期預金の利回りは、どうなるでしょうか?
元本保証かつ金利があらかじめ決まっている通常の預金商品では、金利=利回り(投資元本に対する回収金額の比率)です。
宝くじ付き定期預金では、宝くじの価値をどう評価するかで利回りがちがってきます。
(1) いまからスルガ銀行の商品設定にそって利回りを検討してみましょう。ここでは1口300万円の宝くじ付き定期預金を、1年間預け入れた時点での比較とします。
まず預金自体の金利です。適用金利は年0.002%ですが、これは6ヵ月ものの金利ですので、1年で6ヵ月の預け入れを2回くり返したとして、
300万円 ×〔1+0.00002×(6/12)〕×〔1+0.00002×(6/12)〕= 3,000,060円
となり、1年でえられる利息は60円です。
(2) この300円から利子課税として20.315%(復興特別所得税を含めた所得税が15.315%、地方税が5%)ひかれますので、60円×0.20315=12.189円
が税金となり、1円未満切り捨てなので12円だけ課税されます。つまり実質的な手取りは、
60円−12円=48円 となり、この場合の預金自体の利回りは、48円÷300万円=年0.0016%となります。
(3) つぎに「宝くじのぶんの利回り」はどう考えればよいでしょうか?
スルガ銀行では、宝くじ付き定期預金で1口300万円の場合には、「ドリームジャンボ宝くじ」「サマージャンボ宝くじ」「年末ジャンボ宝くじ」の3ジャンボとも、各10枚を連番かバラでもらえます。
ジャンボ宝くじは1枚300円ですので、元金300万円に対して年に 9,000円(=300円×10枚×年3回)分の額面のくじ券をもらえることになります。したがってその元金に対する割合は、9,000円÷300万円=0.3% です。
では、先ほどの預金金利の利回り(年0.008%)と合算して、年0.0016%+年0.3%=年0.3016% と評価してよいでしょうか?
(4) 年間9,000円のジャンボ宝くじは、それだけの価値の楽しみ、つまり宝くじの「夢」をもたらします。
しかし現金同等の価値として評価する場合は、当せんが確実な末等の300円しか期待できません(連番でもバラでも番号の下1ケタは0から9までそろっているため末等は当たります)。
つまり、宝くじから年間で 900円(300円×3回)の手取り金額が確実にえられます。宝くじの当せん金には税金はかからないので、そのまま900円を300万円で割ってえられる年0.03%が、当せん金を考慮した実態の利回りとなります。
先ほどの宝くじ自体の額面価値に着目して算出した年0.3016%は、いわば見かけの利回りです。
(5) ここまでの「預金自体の利回り」と「実態の宝くじ当せん金の利回り」を合計しますと、スルガ銀行の宝くじ付き定期預金(1口300万円)の1年の利回りは、年0.0016%+年0.03%=年0.0316% となります。
なお、スルガ銀行の宝くじ付き定期預金を「1口100万円」で預け入れた場合には、各ジャンボで5枚ずつの提供となります。末等当せんのためには下1ケタが一致しないといけないので、最低でも1セット10枚単位のくじ券がない限り末等300円を利回り計算に入れられません。
ですので、スルガ銀行の宝くじ付き定期預金を「1口100万円」で預け入れた場合、利回りは定期預金としての利息分の年0.0016%としか評価できません。
宝くじ付き定期預金を選ぶのなら、どの金融機関の商品でしょうか?
お金を預け入れるだけではなくて、ジャンボ宝くじの大当たりも期待するわけですから、やはりもらえる宝くじの枚数は大きなポイントです。さらに「夢」が感じられるかです。
夢を買う宝くじの、その「夢」をお金に評価することは難しいのですが、元金100万円につき、年間10枚の宝くじ券が提供される「スルガ銀行の宝くじ付き定期預金」に訴求力があります。西銀座チャンスセンターや三嶋大社を絡めた話題性もふくめて、夢のある商品性です。
しかも、西銀座チャンスセンターで買い入れて当せん祈願したものですから、話題性があります。また、過去の高額当せんの実績もスルガ銀行のホームページで見ることができます。ちなみに、連番やバラなどの買い方を自由に選べるのもスルガ銀行だけで、くじ券の現物が手もとに送られてきます。
使い道の決まっていないお金があって、宝くじが大好きな人は、「スルガ銀行の宝くじ付き定期預金」から検討を始めてみてはどうでしょうか?